SSブログ

「ハノン」でピアノは上手になるのか? 1 [レッスン]

「ピアノもジャズも経験がない人のためのジャズピアノの学び方」 についてお話しする筈が、僕の体験談になり、 ついには「自伝(笑)」になってしまいました。 「失敗の連続」=「無駄のかたまり」だった僕の「ジャズピアノ習得法」というか 「ジャズピアノ人生」のお話を延々と続けるのも我ながら面倒になりました(汗)。 という訳で今日は途中経過を省き「結論」をお一つ。 「これからジャズピアノを始めよう」という方にも、 「ある程度、ジャズピアノが弾ける」という方にもアドバイス。 「失敗したジャズピアノ人生(笑)」にならない鉄則 a,「基礎」をいい加減にやっては駄目 b,「基礎」とは何なのか?を見極める c,「基礎」の修練を続ける の三点。 最大の問題は「基礎とは何か?」見極める事 誰だって「基礎が大事」という事は識っておられますが、 では「基礎」とは何か?と問われると漠然としたままなんですね。 「ジャズの基礎はクラシック」と言う説は間違ってないけれども、 では「クラシックの基礎は何か?」と聞かれれば分からない人が殆どでしょう。 「えっクラシックピアノの基礎ですか? ツェルニーやハノンをしっかりやって、楽典や聴音/視聴も習えばいいのでは」 「何々グレードの取得も励みになります」 とか見当違いのもアドバイスして下さる「ピアノの先生」は少なくありません。 確かに「何々グレード」だかに合格したり、音大や専門学校入学/卒業し、 できれば留学の一つでもすれば、「進歩」した気はするし、 「基礎」はちゃんと習得できていると自他共に感じるでしょう。 しかし、それらは「ある過程」の初歩段階を修めた、 というだけであり、本当にそれらが「音楽の基礎」として形成されるのか、 と言えばそうでもないようです。 僕自身の「人生の過ち」の始まりは、ジャズやクラシックの「基礎」を取り違えたまま驀進し、 膨大な時間を浪費してしまった事にあった、と最近想います。 という訳で「ピアノもジャズも経験がない人のためのジャズピアノの学び方」とも関わる訳で、 「学ぶべき音楽の基礎」とは何か?について考えてみましょう。 「専門的なレッスン」を受けて「基礎が全くない」と分かった 僕の「自伝(笑)」なぞ書いても仕方ないのですが、話の都合上書きますと、 僕は高校生時分から、音大進学を目指し「専門的な先生」の元にレッスンに通い始めました。 それ以前は近所のピアノの先生の元で「クラシック」を習う程度。 熱心にやったのが、中学時代に学校の音楽部で「フォーク・バンド」を結成し、 練習と「ライブ活動(?)」に励んだ程度。 尤も「女の子にモテたい」というか「モテるかも知れない!」という思惑で 当時のローティーンの定番だった「フォーク(ニューミュージック)」をやってましたが、 本当はクラシックのベートーヴェンやショパン等に傾倒し、 ジャズやロックにも関心が強い、という純朴な少年でありました。 結局、高校生頃には「ジャズピアノの道」に進もうという妄想が離れなくなり、 クラシック系音大を目指しますが、作曲科を目指したのは、 単純に「ピアノ科に入学できる技能がなかった」から。 尤もどうせ音大に行くならば作曲科の方が「ジャズピアノの即興演奏」に必要な、 音楽理論的な事が学ベルから得策だろう、とも考えました。 この発想自体は間違ってないものの、僕の能力には大きな問題がありました。 「ジャズピアノ即興に音楽理論の勉強が役立つ」という理由からクラシック系作曲科を目指しましたが、「クラシックの作曲家」ベートーヴェンに憧れたり、リック・ウェイクマンという英国プログレッシブ・ロックの「クラシックとロックの融合」に系統した事もあり、「作曲」にも憧れがありました。 それで、なにやら「作曲作品の断片らしきもの」をノートに書き付けておりましたので、 作曲の先生に「入門」する際に持参しました。 尤も、先生はそれらの「作曲の断片」には全く触れず、 「音楽作曲科進学を目指すならば、入試課題である「和声学」やら「対位法」 を学ばねばならず、教科書を購入して課題を宿題としてやって来い、という話だったので、 僕はガッカリしました。 加えて「聴音」という科目があり、先生がピアノで弾くメロディーを五線紙に書き取ったり、 逆に書かれたメロディーを歌う「視唱」という科目もある、 との事でそれらの「能力テスト」を最初に受けました。 それで判明したのは、僕には「隠れていた才能」がある、という事では全くなく、 僕に「音楽の基礎」が「お話にならない程に欠落していた」という「事実」のみでした。 そら、そうでしょ。殆ど「音楽の勉強」をした事がないのだから。 先生が「変ロ長調の聴音をするから、五線紙に変ロ長調の調号を書いてみろ」とか言われたものの、 そもそも「調号」自体が分からないから、手も足も出ない。 「4分の3拍子」と言われてもよく解らない。 先生も当初こそ「バカヤロー」とか怒鳴るのだけど、 僕が「音楽の基礎」が「原始人並」だと判ると、先生が呆れ、 逆に「苦悩の人」を自称される始末。 結局、先生の元で「作曲の勉強」に通いつつ、先生から紹介した貰った若い女の先生から、 聴音や視唱等の「ソルフェージュ」等を習う事になり、又、僕の方でも、 本屋で「楽典の本」を購入し、「ト音記号の書き方」なんてのから独学しました。 結局、一年くらい経て、漸く「原始人」から「原住民」位のレベルへと進化し、 やがては「人間レベル」の会話とレッスンを受けれるようになった次第でした。 ピアノ上達の速攻方法として「ハノン」を選択 「音楽理論」や「ソルフェージュ」の能力が「原始人並」と判定された僕でしたが、 僕自身が気にしたのは「ピアノの腕前」。 通っていた田舎の高校でこそ「ピアノの天才(笑)」なんて呼ばれていましたが、 「専門に勉強している」生徒や先生の前ではどうなのか? 「専門的に勉強」を始めた高校一年生時点で、僕は近所のピアノの先生に通い、 「チェルニー40番」「バッハ/インベンション」「ソナチネ」という全音グレードの「中級」 を習っていました。 流石の僕でも、音大のピアノ科を目指すような女の子達は、高校生ともなれば 「上級」の「ショパン」の難曲を弾きまくる、とは知っていたので、 これではダメだ、とは思ってました。 尤も「専門的な先生」に見てもらうと、これまた「基礎的な事がいい加減だ」と判定されましたが、 慰め顔で、まぁ、「作曲科」の「副科ピアノ受験」程度はなんとかクリアできるかも知れない、 とは言われました。 尤も「音大受験」という観点では済ませれても、将来は「作曲家」ではなくプロの「ジャズピアニスト」を目指した僕としては、それでは困りました。 なるほど「ジャズピアニスト」には、セロニアス・モンクとかマル・ウォルドロンのように「クラシック的には大して弾けないが偉大なジャズピアニス」は存在します。 (実際にはモンクは元々は超絶技法のストライドピアニストだったらしいですが) マル・ウォルドロン/オール・アローン(歴史的名盤) https://youtu.be/5wYyMG2KerQ しかし僕が目指すのはキース・ジャレットやリッチー・バイラークような 「クラシックが基盤」としてあるピアノスタイルでした。 https://youtu.be/NSYnjRGgrBI リッチーは一日8〜10時間くらい練習し、 音階やバッハ、ベートーヴェンやショパンのようなクラシックを6時間、 残りで「ジャズ即興」の練習をする、という話。 要するに「ショパンの練習曲」くらいは当たり前のように弾けないとダメだ、 ショパンやドビッシーにも熟達し、音大ピアノ科の連中とも、 互角の「会話」が成立するような腕前にならなければ駄目だ、自己目標を定めました。 尤も現実の僕は「チェルニー40番」やら「ソナチネ」だからお話にならない、 せめて次のステップの「チェルニー50番」や「ソナタ」を終え、 早く「上級」にならねばならない、と自分に言い聞かせました。 尤も当時の音大ピアノ科を受験するような女の子は高校生ともなれば、 「ピアノ科」受験ならば一日八時間の練習は当たり前、 僕の場合、本筋の「音大受験用の作曲関連の勉強やレッスン」、 基本的な「ソルフェージュのレッスン」に通わねばなりません。 まぁ高校は、勉強こそ「放棄(笑)」するにせよ、勝手に休む訳には行かず、 「男女交際(笑)」等の「必要経費的な時間」も必要だから、 「ピアノ練習」には一日四、五時間程度しか充てれない計算になります。 何れにせよ「ピアノが最も早く上達する方法は何か?」を考える必要があり、 結局、徹底的に「ハノン」を練習するのが効果的ではないか、と結論付けました。 それで毎日、二時間半くらいかけて「ハノン」全曲を弾き通す訳ですが、 曲ごとに「調」を半音づつ上げ、二十いくつかの「変奏」を当てはめ、 兎に角、六十曲位を弾き通す事を一年365日やる訳ですね。 それが終わった後、「チェルニー」や「バッハ」「ソナチネ」を練習。 そういう練習を高校生から始め、音大生時分も、その後の二十代実は高校生から始めた「毎日ハノン」の日々を十代と二十代の間、続けました。 その結果どうなったか? 幸い「チェルニー」は「40番」から「50番」に、「バッハは二声のインベンション」から「三声」、「フランス組曲」、「ソナチネ」は「ソナタ」〜モッァルトやベートーヴェンという具合に「進級」して行き、やがてドビッシーやスクリャビンみたない「近代音楽」も弾かせて貰えるようになりましたが。 しかし、その辺りで止まってしまった事はともかく、本当の意味で「ピアノが上達」したのか、 と言えば、やはり違うんですね。 10年以上「ハノンの練習」を続けて進歩したのは「ピアノの技能」ではなく、 単に「ハノンが上達した」というだけ、とも極論できましょう。 勿論、「ハノン」にも色々な効用がありましょう。 しかし、色々な問題もある訳です。 という訳で次回「ハノンの効用」についてお話しましょう。 つづく Kimball Piano Salon 音楽教室主宰/藤井一成 大阪梅田芸術劇場北向かい 電話(0705)-438-5371 Lounge Jazz 科、Classic科 ピアノ、ボーカル、作曲 生徒/講師募集中! http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon(2021年2月よりURLが変わりました) リンクはピアノ初心者にオススメの教材「バッハ/ファースト・レッスン」
First Lessons in Bach: For the Piano, Book II (Schirmer's Library of Musical Classics)

First Lessons in Bach: For the Piano, Book II (Schirmer's Library of Musical Classics)

  • 作者: Johann Sebastian Bach
  • 出版社/メーカー: G Schirmer Inc
  • 発売日: 1986/11/01
  • メディア: ペーパーバック

nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:資格・学び

コードやアドリブ・パターンを覚えるのは駄目!? ジャズピアノの習得法 [レッスン]

「ピアノもジャズも経験がない人のためのジャズピアノ教育についてお話します」
と言いつつ「誰も読みたくない自伝(?)」を押し付けている僕ですが、今日は、
前々回に続き、僕が「ジャズピアノの独学」を始めた頃のお話をします。

「ジャズ和音に興奮した!」のだけど‥

僕は高校卒業後、クラシック系音大に進学する傍、
本来の「人生の目標(!)」である「ジャズピアノの習得」の為、
坂本輝先生著の「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズで独学を始めました。

当時、「レッツ・プレイ〜」は珍しい「初級用ジャズピアノ教本」でしたが、
「本物のモダンジャズの和音」で書かれており、
僕も生まれて初めて自分で「ジャズの音」が出たので興奮しました!

尤も「初心者向け」ながら「理論について書かれた部分」は理解できず、
「枯葉」や「レフト・アローン」等の課題曲に出てくる「和音パターン」を弾くだけ。

それらを書き写しても良いのですが、面倒なので、同じような感じの「モダンジャズの和音」を、
ちょっと書きましたので、「暇(笑)」か「興味がある」方は弾いてみて下さい。

Jazz CHord 色々.jpeg


今の僕は、これ位は考えずに、パッぱっと書けるのですが、
それもその筈。これ位で「モダンジャズの中級の下」位のレベルだからです。

とは言え、当時の僕は、こんな和音は自分では作れなかったし、
どうやれば、こう言う和音が作れるのか?も見当がつきませんでした。

ちなみに「モダンジャズ」の勉強をする場合、
一つの和音に対応する「ジャズ音階」があり、
どの和音にどの「ジャズ音階」が対応するのかも分からなくてはなりません。

ついでに例として、「Gm7 C7 F6」という「よくあるコード進行」を、
よくある「和音の押さえ方」とよくある「対応するジャズ音階」を書いてみましたので、
「暇(笑)」か「興味のある」方はピアノでお弾き下さい。

Jazz Scale .jpeg



いかがですか?

多分、「訳が分からない〜」と感じられたり、
「こんなに面倒な事は自分には出来ない」と絶望(笑)されたかも知れません。

しかしご安心下さい!

僕の教室に習いに来られれば、こんな事はどなたでも理解できるようになるのです。

この程度は「中級の上」位のものですから。

とはいえ、当時の僕は、こんな「音階」が存在している事すら知らなかったし、
実は「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」にも説明がありましたが、
理解できずにスルーしていました。

結局、訳が分からぬまま、「モダンジャズの和音」を「パターン」として覚えては、
我流の「即興」を加えて、同じく訳が分からぬ者同士が集まってバンドを結成し、
二十歳の頃には「ライブ活動(?)」を始めてしまうのですが、
これは「ジャズピアノ習得」と言う観点では困ったパターンなんですね。

「パターン」を覚えても大して実力にはならない!

こんな事を言うと、大勢の「ジャズピアノの先生」から文句が出るでしょうけれども、
「ジャズ和音」や「アドリブ」の「パターン」を覚えても仕方ありません!

これも、誉め上げつつ、否定しまう事になりますが、
坂本輝先生の「レッッ・プレイ・ジャズピアノ」シレーズは、
先生のご真意を離れ、得てして「パターン」を覚えて、
それを貼り付ければ「ジャズピアノ」になる発想の「メソッド」だと思います。

以前書きましたが、坂本先生以前の「ジャズピアノ教材」に、
「ジャズ」と銘打ってあっても、実際には「ジャズのパターン」は殆ど使われていませんでした。

ですから「何はともあれ」、「ジャズ和音」を自分で弾けるようになるのですから、
「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズは画期的と言えましょう。

また「無意識に手が動いてスラスラとパターンが弾ける」様になるには、
学ぶ側にも何年かの努力が必要で、万事飲み込みが遅かった僕なんか、
「ジャズパターン」の習得に10年くらいかかってしまいました。

「バターン」をいくら貼り付けても「ジャズ(音楽) 」にはならない

話は少し脱線しますが、よく「クラシックは楽譜があるから堅苦しいが、
ジャズは自由に即興ができるから楽しい」なんて話を聞課されますが、
実際には「聴いて楽しい」ジャズ演奏なんて極めて少数なんです。

と言うのは「即興演奏」と称しても、実際には、
「パターン」を貼り付けただけの演奏が多いからです。

これは僕のようなB級ミュージシャンだけ、でなく、
「ジャズの帝王」と呼ばれたマイルス・ディビスのような
超一流のバンドでも起こる問題だった様です。

話が脱線しますが、マイルス・デイビスと言えば、
「ジャズの帝王」と呼ばれた偉人で、
晩年はワーナーと契約していましたが、
それ以前は「CBS(今はソニーに買収された)」と契約し、
数々の「歴史的名盤」レコード(CD)を出しました。

ところでマイルスの場合、CBS時代に良いレコードが多いのは、
は良きも悪しきも名プロデューサーであるテオ・マセロが編集し、
「退屈な部分」は容赦無くカットした後、てコードとして発売されます。

マイルスのバンドには、入団当時は無名の若者だったが、「卒業(??)」する頃には、
「一流ミュージシャン」に成長された方が多い様ですが、1970年頃にキーボード奏者
を務めた「キース・ジャレット」は当初から「別格」扱いだった様です。

但し、1970年代初頭の「キース・ジャレット在籍中」当時のマイルス・バンド演奏は、
契約の関係で、殆ど発売されていませんが、近年、テレビ用に録画した映像等が
出回っており、気楽に観れるようになりました。

マイルス・デイビスのバンドでのキース・ジャレットの演奏
https://youtu.be/Wsod6BxM0f0

キース・ジャレットは、マイルスのバンドに入る前も、入った後も退団した後も身体をクネクネと躍らせながら演奏し、マイルスのバックでは、物凄い演奏するも、出番がサックスのゲイリー・バーツに変わり、バーツが「つまらない即興演奏」をするとキースは弾くのを止めてしまいます。

キースもマイルス同様に極めて創造的なアーティストですが、
そんなキースからすれば、ゲイリー・バーツはイマイチな存在。

いくらギンギンに吹きまくろうが、内容がジョン・コルトレーンあたりを
コピーしたフレーズを貼り付けているだけ、の時もあり、
そう言う場合、キースは「何も弾けない(弾かれない)」状態らしい。

勿論、フレーズや和音の「パターン」を練習する事は、有効で重要ですが、
「本番」ともなれば、練習とは別な「創造性」が要求されます。

むしろ「バターン」を覚える事よりも、
「パターン」を展開拡大する技能や感性を養うべきですが、
日本では「優秀な人」ほど、やたら「バターン」を繰り出すだけの演奏に
陥るので、結構「退屈」な演奏になってしまうんですね。

されど「パターン」も必要かな?

ところで「ジャズピアノ」を独学で始めようとしたものの、
ちゃんと学ぶ機械のないのまま、僕は二十歳の頃から
「バンド活動(?)」を始めますが、その時は、
「理論」も殆どわかっていなかったし、
「パターン」の類はほんの僅かしか知りませんでした。

前述の「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」に登場する
「和音のパターン」をいくつか覚えていただけ。

「ワンパターン」ではないにせよ、
「パターンを貼り付けただけ」の「即興演奏」は極めて退屈ですが、
「パターンを習得しないまま」我流で「即興演奏」する僕の演奏も
何も退屈だった筈です。

結局、数年後に行き詰まり、今後とは本気で
「一から」ジャズピアノのみならずクラシックの作曲も
勉強する事になります。

だけども当時は「パターンを知らない」事も知らななかったし、
「勉強」もやりようがないママ、僕は二十歳の「ライブ活動(?)」をはじめます。

それで「我流」のジャズを弾くパンドを結成し、
呆れた事に「ライブハウス」に出演したりした訳です。

と言うお話を次回に続けて致します。。。

Kimball Piano Salon チャールストン倶楽部主宰 藤井一成
大阪梅田芸術劇場 北向かい 
体験レッスンや入会のお手続きは、
http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon(2021年2月よりURLが変わりました)
まで。




nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

「カフェ・ミュージカル」科研究生募集! DTM科も/大阪梅田Kimball 音楽教室 [チャールストン倶楽部]

皆さん、こんにちわ。元々は「ピアノもジャズも経験がない方のためのジャズピアノ」レッスン
についてお話ししている所でしたが、今日は、僕が大阪梅田で主宰している
Kimball Piano Salonの業務関連の報告を致します。

Kimball Piano SAlonは、米国製グランドピアノを設置している「レンタル練習」と共に音楽教室が業務なのですが、音楽教室の正式名称は、
これ、正式名称は、「チャールストン倶楽部音楽教室」と言います。

「チャールトン」というのは、1920年代にガーシュインやルイ・アームストロング等の
「ディキーランド・ジャズ」に合わせてクネクネと踊ったダンスの名称ですが、
要するに「レトロなスゥィング・ジャズ」他の音楽教室や各種音楽企画を
やっているのが「チャールスト倶楽部」です。

米国製ピアノを設置した「カフェ・バー」なんてのも計画してますが、
いずれにせよ現在のKPS同様、小さな、小さな空間での話です。

とは言え、物理的な空間は小さいが、そもそもインターネットによる各種音楽制作、
音楽教材開発等はやっている訳で、正直、うちの商売としては「インターネット」様様、
ですが、ふと気づいたうちの欠点が「映像が弱い事」。

これは「映像」発信という意味ではありませんが、うちの教室のレッスン風景等は、
結構、You-tube等で公開しているものの、単に「記録」という意味合い。

僕が適当な機材で、適当に録画するものだから、映像アングルも画質も音質も
全然大したものではなかったのですが、それで特に不自由はしていませんでした。

うちの教室のレッスン風景の動画;
https://youtu.be/ErnfbeIJpZk

教室での発表会風景の動画
https://youtu.be/0dIzpJF50T0

但し、考えてみれば、僕の周辺にはテレビドラマのプロデューサー、FMのパーソナリティ、
映像作家、音響等「映像」のプロがゴロゴロしている訳。

加えて「単なるレッスンの記録」ではない、今開設しているジャズの「通信教育」の「番組」制作や、
「音楽演奏」も例えばCD等の音だけでないちゃんとした「映像」として発信するのも良いぞ、と思えるようになりました。

それでテレビドラマのプロデューサーN氏を「校長」とする「映像/映画」塾や、
ラジオのパーソナリティYさんを講師とする「ラジオ/声優」塾なんぞも開設する事にしました。

勿論、映画を作る(!)にせよ、ラジオ番組を企画するにせよ、小規模なものに過ぎませんが、
テーマについては、受講者の自由。

但し出来上がった作品、というか、うちの企画として、
「レトロな時代」の米国、パリ、フランス、大阪、上海やハノイ等をテーマとするものを、
「チャールストン倶楽部」というブランド(?)で発信してもいいな、なんて空想しています。

もう一つが「カフェ・ミュージカル」塾という企画。

うちの教室の「ジャズボーカル科」の生徒さんには「ミュージカルをやりたい!」
という人が少なくないのですが、そもそも「やる場所」もなければ、
今更、ダンスから演技から、何からをやる体力や時間、お金もないなぁ、
というのが偽らざる所でした。

そこで考えていたのが「カフェ・ミュージカル」というスタイル。

カフェやライブハウスの小さな空間で、あまり大きな演技等もなく、
背景にCG等で映像を流す等で、観客には「シーンを想像して貰う」という形での「公演」を行う、
という手近なもの。

まぁ、これも僕自身は「ピアノバーの音楽」やら「カフェのスゥイング」仕事だけで精一杯でして、
殆どの進んでおりませんでしたが、考えてみれば、僕の周辺には「ミュージカル」や「演劇」の
専門家がいるなぁと(某歌劇団や劇団の方等)とも気づきました。

この「カフェ・ミュージカル」もリアルは更に小さな場所での「公演」を可能とすると共に、
むしろ「You-tube」等での動画状態では「公開」もありかな、なんて思い始めています。

ちなみに、これは「カフェ・ミュージカル」の「原型」というか、
思いつきで、とりあえず集まってみたが、内容的には滅茶苦茶になった
失敗例です(汗)

https://youtu.be/GEEb4GG3Qpk

ちなみに「アマチュア」としてやる規模と内容のものが中心ですが、
「プロ」的な活動にも発展できれば凄いでしょうねえ。

これも、上記の「映像」や「演劇」等のプロが「チャールストン倶楽部」に
スタッフ参加して下さるので、「指導」や「監督」ができるようになる訳で、
俄かに現実的なものとなりました。

そこで研究生を募集!します。

「ミュージカル好きで自分でもやってみたい」という方。

この「ミュージカル」というのはドラマとかでも構いませんが、
シンガー、役者、ナレーター、映像作家、DTM、音楽演奏等の経験者か、
これからやってみたい、という方を「研究生」として募集致します。

まぁ僕個人的な都合としては、こと、ボーカルやピアノ、作編曲については、
僕の教室でレッスンを受けて頂いた方が何かと好都合ですが、
基本的には、それは問いません。

研究生の会費は、未定ですが、多くて何千円くらいになるかと思います。

或いはプロの方の場合は、少ないですが謝礼をお支払い致します。

という訳で、実は「チャールストン倶楽部」のホームページすらまだ完成しておりませんが、
(というのは、うちの場合、口コミやこのブログで人が集まり、何かをやって、やがて安定した後に、
ようやく一般募集のホームページを作る、という流れですので)、
このブログで募集を始めますので、ご関心のある方は下記までご連絡くださいませ。

大阪梅田芸術劇場北向かい Kimball Piano Salon 音楽教室 担当 藤井

電話 0705-438-5371 http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

「本物のジャズコード」を生まれて初めて弾けた! のが独習の始まりでした [レッスン]

前回は、「ジャズピアノを学びたい」と思ったものの独学するしかなかった、
当時、クラシック系音大生だった僕が選択した坂本輝先生の
「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズの二つの特性についてお話ししました。

つまり「坂本メソッド」には「ジャズは体系的に学ぶべき」という基本的な発想や、
ハノンやチェルニーのような「メカニカル・トレーニング」の課題があり、
それらの課題を進めれば「ジャズピアノ」が弾けるようになる、
という他と異なるモノがあった、というお話をしましした。

今日は「坂本メソッド」の、もう一つの特性である当時としては珍しかった、
「初心者向け」だが「本物のジャズ・サウンド」があった、
という点についてお話ししましょう。

インチキな「ジャズピアノ曲集」に泣いた

僕が「ジャズピアノ」の勉強を始めた1980年代の初頭、
本屋さんで買える「ジャズピアノ曲集」の類は、
「本物のジャズ」ではなく、インチキな「歌謡曲調ポピュラーピアノ」
スタイルのものが殆どでした。

いかにも「ジャズっぽい」表紙に期待して購入し、
帰宅してピアノで鳴らすと、全然「ジャズ」に聴こえない、
という詐欺みたいな「ジャズピアノ曲集」が無数にありました。

話が例によって脱線しますが、当時の同じ楽譜が、
流石に「ジャズピアノ」とは書いてませんでしたが、
「クラシック・スタイルのポピュラーピアノ」と銘打って
今も販売されているようなので笑ってしまいましたが‥。

これも脱線するので詳しくは別な機会に書きますが、
「ジャズピアノ」のハーモニーやフレーズは、
ショパンやバッハと言った「クラシック」から派生しており、
「本物のクラシック・スタイル」ならば「ポピュラーピアノ」だろうが
何だろうが大してものですが、実際には単なる「インチキ・スタイル」の事なのでしょう。

まぁ好意的に称して「歌謡曲調ポピュラーピアノ」という所でしょう。

初めから「ジャズ」サウンドなので感激した「坂本輝著/レッツ・プレイ」

上記の「歌謡曲調
ジャズのコード.jpeg
」に対し、坂本輝先生の「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」全四巻は、
一巻の初めから「本物のジャズ」のサウンドだったので感激しました!

最初の一曲目はスタンダード名曲「枯葉」でしたが、
冒頭は「Cm7 - F7 - B♭Maj7」というコード進行となります。

これが「歌謡曲調ポピュラー」だと、下記楽譜のように「Cm7=ドミソシ♭」
「F7=ファ・ラ・ド・ミ♭」「B♭Maj7=シ♭レファラ」となります。

ジャズのコード.jpeg


ちなみに、これはいわゆる「クラシックの四声体」でちゃんと配置した和声です。

ところで同じコード進行が坂本先生の楽譜だと以下になります。
ご興味がある方はピアノで弾いて下さい。
Jazz 5way .jpeg


いかがですか? 「ジャズっぽい」でしょう?

同じ「Cm7 - F7 - B♭Maj7」でも上記の「クラシック和声(これ自体は正統的ですが)とは、
かなり違ったサウンドになりますね。

尤もこれは今になってみると「ジャズピアノ」の「初歩的なパターン」に過ぎず、
「大したものではない」というか、プロともなれば、
「ありきたり過ぎて使えない」程度のものです。

とは言え、当時の僕からすれば、
ピアノの音がリッチに「クィーン」と伸びる不思議な響きで、
「これこそ、レコードで聴くジャズの音だ!」と興奮しまた!

尤も「これでジャズピアノが弾けた!」なんて事は、
流石に田舎の純朴な音大生だった僕でさえ思わず、
「どうやれば、このような複雑な和音が作れるのか??」と疑問というか、
知識欲がムラムラと起こってきました。

なぜ「Cm7(ドミソシ♭)」に「レ」が入るのか?

「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」の理論コーナーに述べられていましたが、
殆どの理解できませんでした。

尤も坂本先生ご自身、どうやら、別に出版される筈の「理論書」で説明されるおつもりで、
「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズには簡易に説明しかなかったのかも知れません。

結局「理論」は何も分からなかったけれども、
「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」に掲載されていた楽譜を片っ端から弾き、
覚え「我流」でなんとなく「ジャズっぽい」雰囲気のピアノが弾けるように目指しました。


「ジャズ理論」の勉強を始めた

但し、これでは今にしても思えば「なんちゃってジャズピアノ」の「元祖」だった訳で、
学校(音大)に行って、クラシックは専門ながらジャズの事は何にも知らない同級生の女の子達に、
適当にフレーズや和音を弾いて聴かせ、「うわー凄い」とはお世辞を言って貰うのが関の山。

こんなものでは前述の「歌謡曲調ポピュラーピアノ」と
「コードパターン」が違うだけの「インチキ」に過ぎない、とも流石に思いました。

否、「インチキ」でも構わないが、精々、いくつかの「コードパターン」を覚えただけ、
せめて「アドリブの作り方」でも「左手の伴奏パターン」でも覚えれればな、と思いました。

そして、その程度は「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」で習得可能であり、
結局、10代の最後に坂本輝先生の「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」に出会い、
二十代は「レッツ・プレイ〜」の習得に明け暮れます。

それは独学による「ジャズピアノ習得」のスタートとしては、
さほど間違ってはいなかったと思います。

敢えて言えば、今は「坂本メソッド」とは90度位異なる「学習方法」を取ります。

「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズの習得に明け暮れ、
それが達成する事で、二十代半ば頃には、今の感覚では、
僕は「ジャズピアノの中級」位にはなれた、と思います。

当時は、それ位でもバーラウンジでの「ジャズピアノ生演奏」の仕事には不自由しなかったし、
「ジャズピアノ講師」の仕事も得れましたが、正直言って、今度は「上級」の壁がドーンと
立ちはだかっている事が見えてきます。

結局、それを越える為には更に十年位を必要としますが、
結局、二十年もかけて「初級」から「上級」に達した訳ですが、
敢えて言えば、今の僕の教室では三、四年も頑張れば、それ位には誰でもなれるでしょう。

変な話、今の僕程度の先生に、若い頃の僕が出会っていれば、
僕のもう少しマシな人生が送れたかな、とも思います。

そんな空想はさて置き、当時、坂本先生は東京のみならず京都でも教えられていた訳で、
遮二無二に入門していれば、僕も「人生を無駄にせずに済んだかも知れない」なんて、
後悔したりします。

これも今にして思う事ですが、坂本先生が音楽之友社から出版された
「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズ他は、
紙面の関係からは、全てが述べられていた訳でなく、
正直言って、これだけでは完結していないのではないか、と思います。

実際、後年、古本屋で坂本先生が翻訳された「理論書」も見つけたし、
実際に師事された人から聞いた話では、
相当に高度なレッスンがされていた、との事。

だから直接習うべきだったのですが、
当時は今と違い、情報が入らず、そもそも坂本先生にどうやってアクセスすればいいのか、
さえ分からず、結局、遠くで眺めているしかありませんでした。

ちなみに「初期(笑)」の僕が、坂本輝先生から多大な影響を受けた事は確かですが、
現在の僕は、「坂本メソッド」を否定する、というか、
今の僕の「ジャズピアノの方法」は坂本先生とは異なる発想の「メソッド」を持ちます。
(あくまで坂本先生が三十年昔のままでいる、という前提の話ですが)。

「初歩」として「枯葉」を弾くのは良い事だけど、
「ジャズピアノ」のコードやフレーズの「パターン」をメカニカルに練習し、
それをはめ込んで演奏する、という事は僕は否定的です。

そもそも僕自身は感激しましたが、「入門」として、
「ジャズコード」を弾かせる、という事自体、
逆に本当に高度なジャズコードへの理解の妨げになる、と思います。

或いは僕自身は、何年もジャズの音階や分散和音のパターン練習を続け、
指にそういう形を覚えこませ、上記のように二十代半ば過ぎには、
「中級」としては上手にピアノを弾ける、なりました。

今の僕は、その手の練習はやらないし、単に「音階練習」も滅多にしませんし、
お弟子さんにも特には薦めません(それらの音階を正確に理解する事は肝要ですが)

結局、「坂本メソッド」の「メカニカル・トレーニング」に精を出したから、
その後、ジャズピアノが上達したのか、或いは「時間(人生というべきか)」を浪費したのかは、
よく分かりません。

まぁ、良い部分も沢山あったろうし、また「坂本メソッド」とは全く無関係な形での、
僕なりの「ジャズピアノ習得法」もあり、二十歳の頃にはバンドなぞを結成し、
「ライブ活動(爆笑)」を始めた次第。

次回は「坂本メソッド」の「メカニカル・トレーニング」の内容や、
僕なりの「即興演奏」習得を目指した二十歳の頃の「勉強」について
お話しましょう。

つづく

大阪梅田芸術劇場北向かい Kimball Piano Salon 主宰 藤井一成
「ジャズピアノ/ボーカル/弾き語り」生徒募集中。

無料体験レッスンのお問い合わせは下記よりメールか
電話 0705-438-5371 まで(藤井直通)

http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon(2021年2月からの新URLです)

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

ジャズピアノの「教育」や「メカニカル・トレーニング」の是非 [レッスン]

前回は「本物のポピュラーピアノ」や「Lounge Jazz」の話に脱線してしまいましたが、
再び「どうやればジャズピアノを習得できるのか?」についての話を戻しましょう!

尤も僕自身の「どうやって僕はジャズピアノを習得したのか?」と言う
「誰も聞きたくない自伝(笑)」になりますが、その点はご寛容の程を(汗)

(前々回の話)

1980年代初頭、僕はクラシック系音大に通いつつ、学べる場がなかったので、
僕は「ジャズピアノ」の「独学」を余儀なくされました。

それで「ジャズ理論」のバイブルと言われた「渡辺貞夫著/Jazz Study」や
「ジャズピアノ」のバイブル「藤井貞泰著/Comtemporary Jazz Piano」を
買い込むものの、最初の1ベージも理解できず挫折。

「やはり身の丈に合った教材が必要だ」を探した結果、僕が高校生時代に出版され、
早速に僕も購入していた「ジャズ教育家」であられる坂本輝先生著
「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズに再び注目。

これこそ僕には最適な「メソッド」だなと思うた次第でした。

「教育概念」「メカニカルな課題」「本物のジャズハーモニー」が  画期的だった「坂本輝メソッド」

当時の僕は、坂本輝先生の「メソッド」である画期的な教材、
音楽の友社「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズは、
三つの点で、惚れ込んでおりました。

坂本メソッドの特徴/「ジャズ教育」という概念

当時に限らず、現在も、「そもそもジャズは学ぶものか?」とか
「教えたり、教えられたいできるものか?」という質問が僕にも届きます。

「ジャズやブルースは黒人奴隷の苦しみが産んだぁ」
「ジャズ即興は感性でやるものだ。勉強すると感性がなくなるぅ!」
「日本人にはジャズはできない。NYで黒人と生活しなければ駄目だぁ!」
等々の妄言は今よりも更にひどかったように記憶してます。

尤も当時の僕は、高校を卒業し、田舎の音大に通う18歳の子供でしたが、
それでも、色々な大人のミュージシャンが、
こんな「原住民」レベルの迷信に囚われているのが、信じられない思いでした。

或いは、精々「レコードをコピーし、真似して弾く」という
「現地人」レベルの習得法が一般的でした。

そんな事では駄目だと確信したのは、
僕がクラシック系音大の作曲科の学生だった、からでしょう。

と言っても別段、作曲科の学生だから変なエリート意識から、
ジャズを見下していた、という意味では全くありません。

実は僕が作曲科に進学したのは、
「クラシックの作曲家」になりたかった訳でなく、
「ジャズピアニスト」が「目標」であり、
その為に必要な「音楽理論」が作曲科だと学べる筈だ、
と考えたからです。

まぁ、少しくらいは「クラシックの作曲家」にも憧れましたけどね。

問題は「作曲の勉強」が予測していたものとまるで違った事。

僕は作曲科への進学の為に高校二年生から、
専門の先生の元で勉強を始めました。

実は「作曲のレッスン」と言うから、
僕がなにやら五線紙に書きつけていた「曲」を、
先生が「芸術性」について批評してくれのか、
と想像していたが、全く違いました。

「作曲のサの字」もなく、レッスンは「和声学」やら「対位法」を、
「教科書」に従って学ぶだけ。

この「和声学」というのが、「定理」やら「禁則」やらが並ぶ、
まるで数学の勉強みたいな課題でして、これを短くてもも二年位は勉強しなければ駄目だ、
との事。

それで「和声学」のレッスンに通い始めて判明した事は、
僕に「隠れていた作曲の才能があった」のでは全くなく、
「基礎的な楽典やソルフェージュの知識が欠落している」点だけ。

多分、当時の先生は「原住民」に「西洋文明」を教えるような
「絶望感」を持たれた筈だろうし、殆ど毎回、
「こんな事も知らないのか! バカヤロー!」と怒鳴りつけられました。

それで毎回、マンツーマンで怒鳴りつけられから、変な耐性ができ、
それまで高校では、あらゆる生徒が敬遠するような怖い先生の、
集団に対する怒鳴り声なんか平気になりました。

だからと言って「和声学」の理解が高まった訳ではありませんが、
怒鳴られようなが、諦められようが、気にもせずに通う内、
段々と「和声学」が理解できるようになりました。

まぁ、物凄く劣等な学生であった事は確かですが、
「真面目に勉強や練習を続ければ、何とかできるようになる」
という点は確信するようになりました。

ですから「ジャズピアノ」も同じように、
「誰にでも共用できる知識や技術」と言うものがある筈で、
それを的確に習得すれば誰でも「ジャズピアノ」も弾けるようになる筈、と考えました。

そして坂本輝先生の「メソッド」については、
正にそいう考え方で構築していたから、
僕には坂本輝先生を追い始めます。

坂本メソッドの特徴2「メカニカル・トレーニング」の充実

「ジャズピアノ習得」についての色々な人ず異口同音に発する疑問は、 「何を練習すれば効果的なのか解らない」という点でした。

告白すれば、音大生時分の僕は、勉強はあまりせず、
友人との勝手な「芸術論(?)」の論戦に明け暮れていましたが、
勿論、それでは一ミリも進歩も振り得ず、
「人生にも失敗」してしまうでしょう。

救いは、毎日、何時間かはピアノを「練習」していた事。

尤も「練習」と言っても、「ハノン」全曲を二時間半位弾くだけか、
加えて一時間位弾くだけでしたが。

それでも、ピアノを始めた年齢が10歳と遅かった、つまりは、
「指が動かない」という劣等感から脱却する為に、
毎日二時間半の「ハノンの練習」を続けた事は多分有効だったでしょう。

問題は「ジャズピアノ」で、クラシックのハノンやツェルニーに相当する「教材」、
或いは「練習課題」がなかった事です。

「毎日、ハノンを続ければ、指が動くようのと同様の効果がある、
「ジャズのハノン」のようなものがある筈だと考えました。

「坂本メソッド」には、こういう「ジャズのメカニカル練習方法」が多数、
用意されておりました。

実は、18才から気合いを入れて「ジャズピアノ」習得の勉強を始めたつもりでしたが、
「坂本メソッド」の「メカニカル」課題に取り掛かったのは、
更に数年を経た二十代半ばの頃です。

尤も、それまの結果、それまで弾けなかった事が楽に弾けるようになったり、
或いは「G#️⃣m7 ♭5」なんて言われても即座に弾けなかったのが、
問題なく弾けるようになりました。

そういう意味では「効果の出た」練習が膨大な量があった訳です。

但し、誤解ないように申しますと、現在の僕は、
この手の「メカニカル練習」をやりませんし、
お弟子さんにも進めません。

今の僕は「坂本メソッド」とは相当に考え方が異なり、
別なメソッドを採用しています。

とは云え、僕自身が若い頃に「坂本メソッド」を使ったはの良かったのかどうか不明。

その辺りについては、別な日にお話ししましょう。

なんて言いつつ、時間がすぎました。次回は「坂本メソッド」の肝心要である、
「坂本メソッド」の特徴3/ 本物のジャズ等を楽しむ会もあります、というか、
これらの異なるきサウンドが味わため。

なんて論議しつつ、今日は筆を起き、続きは次回!
「坂本輝メソッド」の三番目の特徴「本物のジャズコード」があった、に写りましをょう。

つづく

大阪芸術劇場北向かい Kimball Piano Salon音楽教室主宰/藤井一成
Lounge Jazz ピアノ科/ボーカル科 生徒募集中。
無量体験レッスンのお問い合わせは、
電話070-5438-0072かメールで、
http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon(2021年2月からの新URLです)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

ジャズの原点は「歌」と「集団即興演奏」というお話 [音楽スタイル]

前回「Lounge Jazz」についてお話しましたが、
考えてみれば、僕が「ジャズピアノ」を始めた頃は、
「Lounge Jazz」なんて全く興味がなかった事を思い出しました。

志望はドラムやベースやサックス等との「セッション」を、
1日も早くできるようになりたい、という事。

皮肉な事にクラシック系音大では、
作曲やピアノよりも、
専門ではないのだけど「声楽」にハマっておりましたが。

山下洋輔トリオでジャズにハマる

僕は公称(笑)、中学生時分よりバド・パウエルやマル・ウォルドロンみたいな
「モダンジャズ」にハマった、という事になっていますが、
本当に心の奥まで揺すられた、つもり自分なりに「わかった」のは、
山下洋輔トリオの音楽なんです。

山下さんは日本の「フリー・ジャズ」の鬼才。

フリー・ジャズとは、それまでの「音楽の規則(?)」を無視して、
自分の好き放題に演奏できる、という1960年代に出現し、
僕が中高生だった1970年代後半でも「現在進行形」だった音楽です。

ちょっと山下洋輔さんの音楽を聴いてみましょう。

70年代後半のスイス・モントルゥー・ジャズ・フェスティバルでのライブ
https://youtu.be/MvfEuteYRj0

最近の山下さん
https://youtu.be/ADe2-zJz1Lc
https://youtu.be/8zQDeTdstU4

これを聴いて「いっぱい飲みたいですなぁ」なんて呑気な事をいう人はいないと思います。

多分、「なんだこりゃあ!」と拒否反応するか、逆に「ウォー、これはゾクゾク来たぁ」と
なるかのいずれ。

大概の人が拒否する筈ですが、中学三年生で高校受験を控えて悶々としていた僕には、
なにやら暗黒の雲を吹き飛ばすような、実に爽快な音楽でありまして、
恥ずかしながら「山下洋輔風」にメチャクチャにピアノを叩いて次第。

尤も「ジャズを理論的にも理解」「ジャズ・リズムが理解」できた後、
山下さんの演奏を改めて聴くと、別に「メチャクチャ」という事はない。

大雑把に言えば「Diminished Chord」の拡大で音を選択し、
細かいジャズリズムを上下左右に組み合わせ、
要するに「物凄く上手く」演奏している訳ですね。

とはいえ、膨大な数がある山下さんの著作を読むと、
「フリージャズ」の「入門」として、
楽譜も読めず、楽器もできない人であっても、
例えば太鼓でも、コップでも、なんでもいいから音の出るものを、
皆んなで「感覚」で自由に「合奏」すればいい、とあります。

こういう場合に、音楽理論なんて全く知らなくても、
不思議となんらかの規則性を伴う「合奏」になるらしいです。

それで恥ずかしながら、高校生になった僕は、
自宅で二台のカセットレコーダーを使い、
ピアノ、木琴、リコーダー等で「多重録音」し、
一人で「フリージャズ」の「訓練」をした記憶があります。

そう言えば坂本龍一さんがNHKテレビで「音楽講座」をやられた時、
ゲストの山下洋輔さんの「指導」で、中学生のブラスバンドが、
皆が好き放題に楽器を鳴らし、それと山下さんや坂本さんが「共演」する、
というシーンがありました。

要するに、とりあえず音を出し、他の人とバランスしつつ、
全体として音楽を作っていく、というのが「フリージャズ」であり、
ある意味「ジャズに限らず音楽の原点だ」という考えでした。

だから僕が音大生となって以来、「ジャズピアノ」を志望した際に、
当然の事として「集団即興演奏」という事がイメージにありました。

早くドラムやベース、サックスなんかと「セッション」したいな、と思ったし、
実は訳がわからないまま、訳がわからないもの同士で「バンド」を組んで、
「ライブ活動(?)」を開始するのが二十歳の頃ですが、その話は後述。

もう一つの原点は「歌」にある

ところで上記NHKの番組でも山下さんはひたすらに「集団即興」を説かれ、
心の縛り(?)を解放すれば自由に音が出せます、みたいな話をされておられました。

そう言えば、1970年代から80年代にかけて、
山下洋輔トリオは日本は元より、ヨーロッパでも絶大な人気を誇り、
もともと「フリージャズ」が盛んだったドイツ等では、
山下さんのスタイルがドイツの「フリージャズ」界に相当な影響を与えた、とも言われます。

当時の「東西を分ける壁」という精神的な緊張が、
山下さん他の「フリージャズ」を求めた、という事があったかも知れませんが、
当時の西ドイツはともかく、東ドイツでは、「フリージャズ」は当局からは歓迎されず、
しかし、その分、東ドイツの観客からは熱狂を持って迎えられたそう。

山下さんが著書で述べられておられますが、
当時の東ドイツのミュージシャンには、色々と当局の制約が付きまとい、
自由に「表現」できなかったそうで、「自由に表現できる日」がくる事を願った、との事。

問題は「ベルリンの壁」が崩壊し、東ドイツが消滅、自由に表現できるようになって以来の
「フリージャズ」の在り方。

簡単に言えば「誰も聴かなくなった!」。

そういう僕が、山下さんのスタイルは「マンネリ」だなぁ、と感じてしまい、
むしろオーソドックスなビル・エバンスみたいなスタイルの方が「刺激的」
だと思えるようになりました。

尤も山下さんも、色々と手を変え品を変え、新しいスタイルを模索されてようですが、
依然としてファンが多いのは、早い話、聞くと、やっぱり良いからなんですね。

基本的には「ジャズの基礎技術」が物凄く高いし、色々と事がわかっている人だから、
僕なんかは聴いてて飽きない。まぁ、あまり聴きたいとも思わなくなってますけどね。

尤も「山下派」みたいな若いピアニストも増えているな、と思います。

高木里代子さんの演奏
https://youtu.be/i9VD8nnFEv8

スガタイローさんの演奏
https://youtu.be/C-M109ISeR4

多分、これは良い事でしょう。少なくとも「アリ」だと思いますね。僕はやらないけど。

ところで、山下洋輔さんは、あまり言わないのですが、
「ジャズ」の原点は「集団即興」と共に「歌」だと僕は思います。

そもそも山下さんは、ああいう風にガンガンに弾きまくりますが、
いざスローバラードなんかを演奏すると物凄くうまいし、
「歌」についても物凄くわかっておられる。

女優の高岡早紀さんの伴奏をする山下洋輔さん
https://youtu.be/PRJoqzOnyAA

「ジャズ」の「集団即興」を原点として爆発させたのが「フリージャズ」ならば、
もう一つの原点である「歌」を拡大したのが「Lounge Jazz」だと僕は思います。

次回は「坂本輝先生のレッッ・プレイ・ジャズ」シリーズの話に。

大阪梅田芸術劇場北向かい Kimball Piano Salon 音楽教室主宰 藤井一成

Lounge Jazz科/ピアノ、ボーカル、弾き語り、作曲生徒募集中!
お問い合わせは電話0705-438-5371かメールで
http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon(2021年2月からの新URL)
リンクは山下洋輔トリオの70年代の名盤 ヨーロッパでのライブ


クレイ

クレイ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: 日本クラウン
  • 発売日: 1989/11/21
  • メディア: CD



nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

うちは大阪梅田にある「Lounge Jazz」の音楽教室です! と言える訳 [レッスン]

前回「ポピュラーピアノ」と一口に言っても「日本によくあるインチキなもの」と
「本物」とは全く別物だ!というお話をしました。

「本物」のポピュラーピアノの代表としてカーメン・キャバレロや
キャバレロがお手本にしたエディ・デューチン、更にそのお手本である
ガーシュインについても少しお話した通りです。

日本では「ジャズ」と言えば「1950〜60年代のモダンジャズ」を指しますが、
上記の「ポピュラーピアノ」は一世代前の「1920〜30年代のスゥイグ・ジャズ」
を基調とします。

皆さんは「ジャズピアノを学びたい」とお思いかも知れませんが、
闇雲に現在進行形のジャズを「真似」するだけではダメ!なんです。

それらの「原点」を識り、「基礎」として習得する事で
例え初級であろうが、否むしろ初級であるからこそ、
「本物」に近づく唯一の道である事をご理解頂きたいものです。

結局、日本の「インチキ・ポピュラーピアノ」も「なんちゃってジャズピアノ」も、
何らかの進歩には結びつかない「時間の浪費」と言えましょう。

ところで「1920〜30年代のガーシュイン〜スゥィグ・ジャズ」から派生したのが、
カーメン・キャバレロやエディ・デューチン等の「ポピュラーピアノ」の主流ですが、
「1950〜60年代のモダンジャズ」を基調とする「ポピュラー」もちゃんとあります。

うちの教室も勿論「モダンジャズ」のコースはありますが‥

早い話、僕が大阪梅田で開いてる「Kimball Piano Salon」音楽教室は、
他に類のない上記の「ガーシュイン・ジャズ〜スゥイング・ジャズ」のコースがありますが、
日本での「ジャズ」を指す「モダンジャズ」のコースも勿論あります。

そもそも僕自身、本来は「モダンジャズ」系の演奏家なのですから。

但し、加えて狭義の「(モダン)ジャズ」、つまりはライブハウスでの

セッションを目的とするスタイルと共に、稲森泰利先生が定義された「ジャズ・スタイルのポピュラー」のコースも設けています。

僕達はこのスタイルを「Lounge Jazz」と称していますが、
僕のみるところ、レッスンに来られる生徒さんの大部分は、
セッション「ジャズ」よりも「Lounge Jazz」の方が合うように思います。

なんて事をお話していると元の話題であった「ピアノもジャズも経験がない人の為のジャズピアノ」
レッスンの話や、その教材の一つである「坂本輝先生著/レッツ・プレイ・ジャズピアノ」
からは脱線する一方ですが、今日は「Lounge Jazz」についてお話ししましょう

ジャズメンによる「ポピュラー」が「Lounge Jazz」

前回「狭義のジャズ」の定義として「楽器による即興演奏」としました。
対して「ポピュラー」とは大雑把に言えば、歌手による「流行歌」だと言いました。

尤も1950年代半ば頃まで両者は離れていた訳でなく、
全米でヒットする「流行歌」自体が「ジャズ・サウンド」で伴奏され、
又、ジャズメンは、それらの「流行歌」を、トランペットやピアノ等の器楽として、
「即興演奏」で「カバー」しました。

「ジャズ」と「ポピュラー」の圧倒的な違いは「アドリブ」と称する「即興演奏」の
割合にあります。

元々は20世紀の半ば頃までは「クラシック」だって「即興演奏」していた訳ですが、
「ポピュラー」同様、基本的に楽譜による「編曲」が決まっているので、
その割合もあまり高くありませんでした。

「ジャズ」の「即興演奏」が発展したのは、演奏の現場であるバーやクラブでは、
客席等が極めて流動的であり、その場その場で、曲を引き伸ばしたり、盛り上げたり、
静かにしたり、という事が求められたからでしょう。

加えて「アドリブ」自体を楽しみたい観客が育った、という事も「ジャズ」の発展に影響しますが、
やはり「原曲」を楽しみたい、という観客も少なくありません。

そういう要望に応え、チャーリー・パーカーやクリフォード・ブラウン等の
「一流のジャズメン」が「アドリブ」ではなく、
「原曲」のメロディーした前述の「Lounge Jazz」
スタイルの演奏やレコード録音を遺しています。


一流ジャズメンが「Lounge Jazz」を録音する理由

ところで本来僕は「ジャズピアニスト」ですが、
ジャズが弾けないクラシック系の人と話ていると
「即興演奏ができるなんて凄いですね!」なんて言われる事があります。

正直言って「即興演奏」自体は別段大した事ではなく、
色々な音楽ジャンルがある中で、たまたま「クラシック」が
「楽譜を再現する」事から始めるから、
「即興演奏」ができない人が大部分を占め、「即興演奏」を特別な事かと信じられています。

尤も「クラシック」以外のロックやフォーク、ポップスの場合、楽譜が読めない、
とか、楽譜自体が存在しないから、耳で聞き覚えた「即興演奏」で音楽として成立させる、
という風に育ちます。

楽譜(作曲家や編曲家)に頼らないから生き生きと演奏できる、とも言えますが、
極めて狭い手癖の中で、ワンパターンな退屈な演奏しかできない人も少なくなく、
やはり「楽譜を通して学ぶ」というルートも持つべきだと思います。

ショパンやベートーヴェン、バッハ、ブラームス等も「ジャズピアニスト」だった?

ところで「クラシック」だって、少なくともショパンやリストの時代は
「即興演奏」が当然で、「即興演奏」がなくなったのは、
精々、第二次世界大戦後の話なんです。

それ以前は「音大を首席で卒業し、何々コンクールに優勝」なんて事は問われず、
単純に言って「演奏家」としての人気や力量が、より多くの観客を得る条件でした。

例えばワルター・ギーゼンキングのような「ドイツ・ピアノ界の巨匠」や、
アルトゥール・ルービンシュタインのように「ショパンの巨匠」さえ、
学校教育はあまり無く、コンクール歴もなく、若い頃はカフェで「ジャズ」を
即興演奏して過ごす内に、段々とクラシックのコンサート・ピアニストとして
活躍できるようになった、という経歴の持ち主です。

ショパンやベートーヴェン、バッハ、ブラームス等の「大作曲家の巨匠」の大部分が、
生前は、むしろ「即興演奏」のスターとして有名でしたが、
楽譜に書き残した「作品」が沢山あるのは何故でしょうか?

一つの理由は、当時は例えば「ショパンの音楽が素晴らしい!」という噂を耳にしたとて、
録音も放送もなく、外国や違う地域の人たちは、ショパン本人が演奏旅行でもしない限り、
「ショパンの音楽」を実際に聴くことは叶いませんでした。

その場合に「ショパンの音楽」をある程度伝える手段だったのが「楽譜」でした。

つまり「楽譜」とは、それを売って稼ごうという商業的理由と共に、
実演を聴けない人にも、「自分の音楽を伝える手段」でもあった訳です。

逆に言えば20世紀半ば以後は、楽譜ではなく、
「録音」によって「ジャズメン」達が「自分の音楽を伝える」事ができるようになります。

但し、その場の観客の反応で伸び縮みする「ジャズの現場」と違い、
「録音」され、繰り返し聴かれる事になるレコード(CD)の場合、
「対談」が編集されてこそ「読み易く」なるのと同様に、
いわば「編集」されたような演奏の方が適する、と言えます。

或いは「集団即興演奏」が本筋である「ジャズ」の場合、
ステージの目立つ所に立っている管楽器奏者ばかりでなく、
ベースやピアノ、ギター、ドラムス等のいわば「裏方」にも「出番」というか
「即興演奏」する機会を与えねばなりません。

勿論、バンドのメンバー全員が「即興」する事を楽しめればいいのですが、
表に立つトランペットしか聴かない観客も少なくありません。

観客が聴く、聴かないに関わらず、他のメンバーの力量によって
表に立つトランペット奏者なりの演奏が大きく変わる訳ですけれども。

しかし、この際、表に立つ演奏者にマトを当て、加えて「アドリブ」ではなく、
「原曲」の歌わせ方に力点を置いた「録音」もあってもいいな、と色々な人が考えました。

それが「一流のモダンジャズ奏者」による「ポピュラー」即ち「Lounge Jazz」となります。

マイルス・デイビスやビル・エバンスも「Lounge Jazz」の名盤を録音

さて「Lounge Jazz」の名盤レコード(CD)ですが、
チャーリー・パーカーやクリフオード・ブラウンの他、
ピアノではオスカー・ピーターソン、ビル・エバンス等が、
その他の楽器ではマイルス・デイビスやウェス・モンゴメリー等の
「一流ジャズメン」が「Lounge Jazz」の名盤を残しています。

大体が「ストリングス伴奏」付きで「甘いバラード」を切々と歌い上げる、
或いは、ミディアム・テンポで心地よくスゥイングする、という演奏が多いようです。

少し聴いてみましょう。

チャーリー・パーカーwith Strings
https://youtu.be/mmm9u8dPU4A

これは「モダンジャズ」の開祖であり「アドリブの天才」チャーリー・パーカーが
「ストリングス伴奏」で「流行歌」を演奏したものですが、
あからさまな「アドリブ」こそ少ないものの、メロディを少し変えたり、
リズムを変えたりで、何より「変奏」が巧いし、
音楽的にも案外にパーカーの個性がよく見える、という名盤です。


マイルス・デイビス&ギル・エバンス楽団/クワイエット・ナイト
https://youtu.be/PnCg05hrBWs

「ジャズの帝王」マイルス・デイビスと「ジャズの鬼才」ギル・エバンスの
合作ともなれば、やはり、物凄く深い、というか、難解な部分も出てきますが、
全体としては、当時大流行した「ボサノバ」風のサウンド。

実は、この「クワイエット・ナイト」はマイルス本人も「失敗作」だと切り捨てたようですが、「Lounge Jazz」として捉えると、やはり「極上の一本」となります。


ビル・エバンス/From Left to Right
https://youtu.be/BHRlxefKT_o

これは「ジャズピアノの改革者」ビル・エバンスが「ミッシェル・ルグラン指揮の
オーケストラ」と共演した、「ジャズファン」が無視したいが、
「Lounge Jazz」として第1級の作品。

エバンスは当時の時流に乗り「エレクトリック・ピアノ」を
「スタインウェイのグランドピアノ」と共に併用。「
Lounge Jazz」としては極上の一枚ですが、エバンスの作品として考えると、
ちょっと軽いかな、と思います。

ウエス・モンゴメリー/A Day in the Life
https://youtu.be/sjHiSePn1ts

ウエスは本来は「ジャズ・セッション」の名手であり、
「ジャズギター」の改革者でもありますが、
若くして亡くなった晩年は盛んに「Lounge Jazz」を録音しています。

ただ時代の関係か、伴奏は「ロック・ポップス」風。

これら等の「一流ジャズメン」による「Lounge Jazz」の録音レコード(CD)は、
日本では「一流ジャズメンが演奏している」という理由から、
当たり前のように「ジャズ」として扱われますが、
本来は狭義の「ジャズ」ではなく「ポピュラー(Lounge Jazz)」に分類すべきでしょう。

おまけ/僕による「Lounge Jazz」のレッスン風景
https://youtu.be/B0r1q39nTbs


*大阪梅田の「Lounge Jazz」の音楽教室です!

今回、改めて「一流ジャズメン」による「ポピュラー」、
即ち「Lounge Jazz」を聴き直して感じた事は、
やはり「一流のジャズ」をやっているな、という事。

逆に言えば「良質のLounge Jazz」をやるには、
「基礎」である「モダンジャズ」をちゃんと習得しなければならない。

そして「モダンジャズ」をちゃんと習得すれば、
「Lounge Jazz」に限らず、ライブハウスでの「セッション・ジャズ」
にも参加できます。従って僕の教室は、前述のように「スゥイング・ジャズ」や
「ニューオリンズ・ジャズ」
にも力を入れ、また「モダンジャズ」のセッションにも対抗できる能力を養成しますが、
「Lounge Jazz」にも力を入れています。

むしろ「うちはLounge Jazzの音楽教室です!」とさえ言えるくらい。

という訳で、漸く「モダンジャズ」の習得の話、
つまりは坂本輝先生の「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズを、
僕がどういう具合に活用したか?というついてお話できます。

つづく

大阪梅田芸術劇場北向かい 電話(0705)438-5371
メールでのお問い合わせは
http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon(2021年2月からの新URL)
リンクはマイルス・デイビスによる「Lounge Jazz」の名盤
「クワイエット・ナイト」


クワイエット・ナイト+1


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

「ガーシュイン・ジャズ」に基づく「ポピュラーピアノ」レッスン [レッスン]

前回はクラシック系音大に通いつつ、「ジャズピアノ」を独学しようとした僕が、
「ジャズ初心者」に最適な教材として坂本輝先生の「レッス・プレイ・ジャズピアノ」
シリーズを使い始めた、という話をしました。

「レッツ・プレイ〜」が画期的だったのは、
今となっては当たり前だけれども、
当時は少数派だった「ジャズ教育」という概念を提唱した事。

「ジャズは感性でやるもの」とか「ジャズは学ぶものではない慣れるもの」
「コビーして真似をすればできるようになる」等の「文盲」が当時の常識。

そうではなく「読む」「書く」「弾く」をバランスした勉強や練習を続ける事が、
唯一「ジャズピアノが弾けるようになる方法」だと提唱した訳ですから痛快でした。

画期的だったもう一点は、「ジャズ初心者向け」教材ながら、
「ジャズ・スタイル」のサウンドで編曲されていた事です。

何をもって「ジャズ・スタイル」と呼ぶのかについては人様々でしょうが、
1980年頃の大阪の楽譜屋さんで購入できた「初心者向けジャズ・ピアノ教材」の殆どが、
「ジャズ」とは呼べない「インチキ」な代物でした。

以前、別な所にも書きましたが、
例えば「ギロック」や「リー・エバンス」等の「初心者向け教材」は、
いわゆる「モダンジャズ」のスタイルでは作曲されていないので、
「ジャズ」ではないと宣う御仁もおられます。

そうではなく、「ギロック」は1920年代の「ニューオリンズ・ジャズ」で、
「リー・エバンス」は「ティンパンアレイ」等の「初期ジャズ」の、
それぞれ「正統的なスタイル」で作曲している訳です。

(ちなみに「リー・エバンス」が本領を発揮するのは、
彼がデビューした1960年代の「モードジャズ」でですが)

それらと僕がティーンの時に購入した「ジャズ名曲集」は本質的に異なり、
表紙や挿絵にはマル・ウオルドロンやウィントン・ケリーと言った
「ジャズピアノの巨匠」の写真が用いられ、
いかにも「モダンジャズ」のピアノ編曲本という装丁とタイトル。

それで「今度こそは」と期待して家に帰ってピアノで弾くと、これが
全然「ジャズ」ではない、初歩的な「三和音」による、
精々「ポピュラー・ピアノ」と呼ばれる代物だったんですね。

今の僕ならば、譜面をチラッと見れば、それが「ジャズ」なのか、
「ポピュラー」なのかは判断できますが、当時は実際に弾いてみる迄、
判別が付かない程に僕は無知だった訳です。

「歌謡曲調ポビュラーピアノ」と「本物のポピュラーピアノ」は別物

ところで「ポピュラーピアノ」の話が出ましたので、
「ジャズピアノ入門」の話からは全然脱線するのと、
大阪梅田で展開している僕の「ジャズピアノ教室」の内容と無関係ではないので、
今日は誤解なきよう「ポピュラー・ピアノ」についてお話ししましょう。

そもそも「ジャズ」と「ポピュラー」とは、どう違うのか?
という事もご存知でない方もおられましょうから、
説明しますと実は「ジャズ」は「ポピュラー」の一瞬とも言えます。

即ちジャズのみでなく、ロックやフォーク、ラテン等をひっくるめて、
いわゆる「クラシック」とは別な音楽として「ポピュラー」とも呼びます。

但し、ここでいう「ポピュラーピアノ」は「ジャズピアノ」と
異なる、しかし正統性のある音楽スタイルを意味します。

狭義の「ジャズ」とはボーカルではない、楽器によって、
「即興演奏」を主体とする音楽となります。

対してここでいう(狭義の)「ポピュラー」は翻訳すると「流行歌」となり、
ボーカル主体で、「編曲された合奏」による伴奏がつきます。

従ってドリス・ディやフランク・シナトラ等の大歌手も、
ここでは「ポピュラー」という分類になります。

ちょっとドリス・ディを聴いてみましょう。

moon glow/Doris Day
https://youtu.be/-qlbOlXKaQ0

いかがでしたか如何にも「ジャズっぽい」サウンドだと思いませんか?

しかし、これは前述の定義に因れば狭義の「ジャズ」ではなく、
「ポピュラー」に分類されます。

ところで、後年、僕は「日本を代表するジャズ教育家」であられる
稲森泰利先生の教材に出会い、私淑という形で、10年くらいかけ、
稲森先生の全教材と全編曲を一応の習得する事になります。

そういう意味で相当に影響を受けた稲森先生の教材ですが、
稲森先生の「メソッド」には、狭義の「ジャズピアノ」と共に、
稲森先生の命名では、「ジャズ・スタイルのポピュラー・ピアノ」と
呼ばれるスタイルが存在しました。

この稲森先生が定義〜命名の「ジャズ・スタイルのポピュラー」とは、
上記の「ポピュラー」であり、実は、これこそが「本物のポピュラー・ピアノ」なのです。

これは日本でいえばホステスさんがいるような「ラウンジ」やレストラン等でBGM演奏される、
気色の悪い「歌謡曲調ポピュラー」とは全く別物となります。

ポピュラーピアノの偉人カーメン・キャバレロ

「本物のポピュラーピアノ」、つまりは稲森先生が定義された
「ジャズスタイルのポピュラーピアノ」と言えば、
僕は「愛情物語」が大ヒットして「カーメン・キャバレロ」を思い出しますので、
一寸聴いてみましょう。

カーメン・キャバレロの来日公演
https://youtu.be/T94GO34aTC4

ちなみに映画「愛情物語」の原題は「エディ・デューチン物語」で、
エディ・デューチンの伝記なのですが、第二次世界大戦前〜戦中にかけて
活躍してデューチンのレコードは日本には入らなかったので、
日本ではデューチンの名前は殆どの知られていません。

しかし映画「愛情物語(エディ・デューチン物語)」でエディ役を演じた
カーメン・キャバレロの演奏スタイルは、実は殆どデューチンから
受け継がれたものなのです。

忘れてはならないエディ・デューチンの功績

デューチンの演奏を聴いてみましょう。
デューチンのソロピアノでスタンダード名曲
https://youtu.be/ybG7IHH-euk

確かにエディ・デューチンのスタイルには、
日本で「ジャズ」を意味する「モダンジャズ」の影響はありません。

なぜならばデューチンの時代には「モダンジャズ」は未だ生まれなかったからです!

しかし「スゥイング・ジャズ」の全盛期であり、
デューチンの楽団はやはり「スゥイング・ジャズ」スタイルを取ります。
https://youtu.be/akPhfmRM-v8

但し「ジャズ」に詳しい方ならば「スゥイング・ジャズ」で有名な、
ベニー・グッドマンやカウント・ベイシー、デュークエリントン等の楽団と、
エディ・デューチン楽団の雰囲気は微妙に異なる事に気づくと思います。

ガーシュイン/ポールホワイトマンからの継承

しかし、これはデューチン楽団が悪いからではなく、
1920年代に「ジャズの王様」と呼ばれた
ガーシュイン&ポール・ホワイトマン楽団がこういう雰囲気だったからです。

ガーシュイン/ホワイトマン楽団による「ラプソディ・イン・ブルー」
https://youtu.be/oadzppD9Rv8

「なんだかクラシックみたいな雰囲気だな」と思われるかも知れませんが、
そもそもホワイトマン自身「クラシックのバイオリン奏者」であり、
またガーシュインも狭義の「ジャズピアニスト」ではありません。

しかし彼等が「ジャズを創生」した一人であった事は確かであり、
後のカウント・ベイシーやデューク・エリントンにも影響を与えていますが、
ある意味、ホワイトマンはエリントンよりも「スゥイングしてない」とも言えます。

これがホワイトマンが劣った、という意味ではなく、
基本的に「ダンスの音楽」という位置付けがあり、
エリントンよりもホワイトマン楽団の方が、
一般の米国白人には「踊りやすかった」とも言えましょう。

ガーシュイン・ジャズの正当性を引き継いだのが「ポピュラーピアノ」

ところでエディ・デューチンですが、
ガーシュイン/ホワイトマン楽団直系の「ジャズ」を正統に受け継ぎ、
独自の発展をさせた訳ですが、それを更に発展させたのが
カーメン・キャバレロです。

何れにせよ「ガーシュイン・ジャズ」という「基礎」があるのが、
カーメン・キャバレロつまりは「本物のポピュラー・ピアノ」と言えましょう。

これも別な機会にお話ししますが、僕の大阪梅田にある「Kimball Piano Salon」音楽教室
には「モダンジャズ」ではない、「ガーシュイン・ジャズ」を専門に学びコースがあります。

どちらかと言えば「クラシックピアノ経験が長く」しかし「ジャズ経験は皆無」という方を
対象としますが、元々の話であって「ピアノもジャズも経験がない」方が、
この「ガーシュイン・ジャズ」を目指した場合、「初級」としては何を学ぶべきか?

これは、やはり1920年代の「初期ジャズ(ガーシュイン・ジャズ)」のスタイルで作曲された
「リー・エバンス」等の教則本でピアノとジャズを学ぶべきなのです。

或いは「本物のポピュラー・ピアノ」を目指される方も、
「日本の歌謡曲」ではなく、「ガーシュイン・ジャズ」の基礎から学ぶべきなのです。

ところで稲森泰利先生が定義された「ジャズ・スタイルのポピュラーピアノ」ですが、
ややこしい話ですが、カーメン・キャバレロに代表される「ガーシュイン・ジャズ」
を基調とすると共に、1950年代の「モダンジャズ」を基調にする物とかあります。

実は僕の教室では前者を「ガーシュイン・ジャズ」とか「ポピュラーピアノ」と呼び、
後者を「Lounge Jazz」と呼んでいます。

次回は「Lounge Jazz」についてお話ししましょう。

PS;それにしても「坂本輝先生のレッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズの話から、
というかそもそもの「ピアノもジャズも経験がない人の為のジャズピアノ」レッスンとは、
どんどん離れてしまってますねぇ。悪しからず。

リンクは稲森泰利先生の「ポピュラーピアノ」教則本

大阪梅田芸術劇場北向かい Kimball Piano Salon 音楽教室 主宰 藤井一成
http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon(2021年2月からの新URL)


ポピュラーピアノ奏法 2 高度な演奏技法とアレンジ [単行本]

ポピュラーピアノ奏法 2 高度な演奏技法とアレンジ [単行本]

  • 作者: 稲森 康利
  • 出版社/メーカー: 中央アート出版社
  • 発売日: 2008/11/19
  • メディア: 楽譜



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。