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うちは大阪梅田にある「Lounge Jazz」の音楽教室です! と言える訳 [レッスン]

前回「ポピュラーピアノ」と一口に言っても「日本によくあるインチキなもの」と
「本物」とは全く別物だ!というお話をしました。

「本物」のポピュラーピアノの代表としてカーメン・キャバレロや
キャバレロがお手本にしたエディ・デューチン、更にそのお手本である
ガーシュインについても少しお話した通りです。

日本では「ジャズ」と言えば「1950〜60年代のモダンジャズ」を指しますが、
上記の「ポピュラーピアノ」は一世代前の「1920〜30年代のスゥイグ・ジャズ」
を基調とします。

皆さんは「ジャズピアノを学びたい」とお思いかも知れませんが、
闇雲に現在進行形のジャズを「真似」するだけではダメ!なんです。

それらの「原点」を識り、「基礎」として習得する事で
例え初級であろうが、否むしろ初級であるからこそ、
「本物」に近づく唯一の道である事をご理解頂きたいものです。

結局、日本の「インチキ・ポピュラーピアノ」も「なんちゃってジャズピアノ」も、
何らかの進歩には結びつかない「時間の浪費」と言えましょう。

ところで「1920〜30年代のガーシュイン〜スゥィグ・ジャズ」から派生したのが、
カーメン・キャバレロやエディ・デューチン等の「ポピュラーピアノ」の主流ですが、
「1950〜60年代のモダンジャズ」を基調とする「ポピュラー」もちゃんとあります。

うちの教室も勿論「モダンジャズ」のコースはありますが‥

早い話、僕が大阪梅田で開いてる「Kimball Piano Salon」音楽教室は、
他に類のない上記の「ガーシュイン・ジャズ〜スゥイング・ジャズ」のコースがありますが、
日本での「ジャズ」を指す「モダンジャズ」のコースも勿論あります。

そもそも僕自身、本来は「モダンジャズ」系の演奏家なのですから。

但し、加えて狭義の「(モダン)ジャズ」、つまりはライブハウスでの

セッションを目的とするスタイルと共に、稲森泰利先生が定義された「ジャズ・スタイルのポピュラー」のコースも設けています。

僕達はこのスタイルを「Lounge Jazz」と称していますが、
僕のみるところ、レッスンに来られる生徒さんの大部分は、
セッション「ジャズ」よりも「Lounge Jazz」の方が合うように思います。

なんて事をお話していると元の話題であった「ピアノもジャズも経験がない人の為のジャズピアノ」
レッスンの話や、その教材の一つである「坂本輝先生著/レッツ・プレイ・ジャズピアノ」
からは脱線する一方ですが、今日は「Lounge Jazz」についてお話ししましょう

ジャズメンによる「ポピュラー」が「Lounge Jazz」

前回「狭義のジャズ」の定義として「楽器による即興演奏」としました。
対して「ポピュラー」とは大雑把に言えば、歌手による「流行歌」だと言いました。

尤も1950年代半ば頃まで両者は離れていた訳でなく、
全米でヒットする「流行歌」自体が「ジャズ・サウンド」で伴奏され、
又、ジャズメンは、それらの「流行歌」を、トランペットやピアノ等の器楽として、
「即興演奏」で「カバー」しました。

「ジャズ」と「ポピュラー」の圧倒的な違いは「アドリブ」と称する「即興演奏」の
割合にあります。

元々は20世紀の半ば頃までは「クラシック」だって「即興演奏」していた訳ですが、
「ポピュラー」同様、基本的に楽譜による「編曲」が決まっているので、
その割合もあまり高くありませんでした。

「ジャズ」の「即興演奏」が発展したのは、演奏の現場であるバーやクラブでは、
客席等が極めて流動的であり、その場その場で、曲を引き伸ばしたり、盛り上げたり、
静かにしたり、という事が求められたからでしょう。

加えて「アドリブ」自体を楽しみたい観客が育った、という事も「ジャズ」の発展に影響しますが、
やはり「原曲」を楽しみたい、という観客も少なくありません。

そういう要望に応え、チャーリー・パーカーやクリフォード・ブラウン等の
「一流のジャズメン」が「アドリブ」ではなく、
「原曲」のメロディーした前述の「Lounge Jazz」
スタイルの演奏やレコード録音を遺しています。


一流ジャズメンが「Lounge Jazz」を録音する理由

ところで本来僕は「ジャズピアニスト」ですが、
ジャズが弾けないクラシック系の人と話ていると
「即興演奏ができるなんて凄いですね!」なんて言われる事があります。

正直言って「即興演奏」自体は別段大した事ではなく、
色々な音楽ジャンルがある中で、たまたま「クラシック」が
「楽譜を再現する」事から始めるから、
「即興演奏」ができない人が大部分を占め、「即興演奏」を特別な事かと信じられています。

尤も「クラシック」以外のロックやフォーク、ポップスの場合、楽譜が読めない、
とか、楽譜自体が存在しないから、耳で聞き覚えた「即興演奏」で音楽として成立させる、
という風に育ちます。

楽譜(作曲家や編曲家)に頼らないから生き生きと演奏できる、とも言えますが、
極めて狭い手癖の中で、ワンパターンな退屈な演奏しかできない人も少なくなく、
やはり「楽譜を通して学ぶ」というルートも持つべきだと思います。

ショパンやベートーヴェン、バッハ、ブラームス等も「ジャズピアニスト」だった?

ところで「クラシック」だって、少なくともショパンやリストの時代は
「即興演奏」が当然で、「即興演奏」がなくなったのは、
精々、第二次世界大戦後の話なんです。

それ以前は「音大を首席で卒業し、何々コンクールに優勝」なんて事は問われず、
単純に言って「演奏家」としての人気や力量が、より多くの観客を得る条件でした。

例えばワルター・ギーゼンキングのような「ドイツ・ピアノ界の巨匠」や、
アルトゥール・ルービンシュタインのように「ショパンの巨匠」さえ、
学校教育はあまり無く、コンクール歴もなく、若い頃はカフェで「ジャズ」を
即興演奏して過ごす内に、段々とクラシックのコンサート・ピアニストとして
活躍できるようになった、という経歴の持ち主です。

ショパンやベートーヴェン、バッハ、ブラームス等の「大作曲家の巨匠」の大部分が、
生前は、むしろ「即興演奏」のスターとして有名でしたが、
楽譜に書き残した「作品」が沢山あるのは何故でしょうか?

一つの理由は、当時は例えば「ショパンの音楽が素晴らしい!」という噂を耳にしたとて、
録音も放送もなく、外国や違う地域の人たちは、ショパン本人が演奏旅行でもしない限り、
「ショパンの音楽」を実際に聴くことは叶いませんでした。

その場合に「ショパンの音楽」をある程度伝える手段だったのが「楽譜」でした。

つまり「楽譜」とは、それを売って稼ごうという商業的理由と共に、
実演を聴けない人にも、「自分の音楽を伝える手段」でもあった訳です。

逆に言えば20世紀半ば以後は、楽譜ではなく、
「録音」によって「ジャズメン」達が「自分の音楽を伝える」事ができるようになります。

但し、その場の観客の反応で伸び縮みする「ジャズの現場」と違い、
「録音」され、繰り返し聴かれる事になるレコード(CD)の場合、
「対談」が編集されてこそ「読み易く」なるのと同様に、
いわば「編集」されたような演奏の方が適する、と言えます。

或いは「集団即興演奏」が本筋である「ジャズ」の場合、
ステージの目立つ所に立っている管楽器奏者ばかりでなく、
ベースやピアノ、ギター、ドラムス等のいわば「裏方」にも「出番」というか
「即興演奏」する機会を与えねばなりません。

勿論、バンドのメンバー全員が「即興」する事を楽しめればいいのですが、
表に立つトランペットしか聴かない観客も少なくありません。

観客が聴く、聴かないに関わらず、他のメンバーの力量によって
表に立つトランペット奏者なりの演奏が大きく変わる訳ですけれども。

しかし、この際、表に立つ演奏者にマトを当て、加えて「アドリブ」ではなく、
「原曲」の歌わせ方に力点を置いた「録音」もあってもいいな、と色々な人が考えました。

それが「一流のモダンジャズ奏者」による「ポピュラー」即ち「Lounge Jazz」となります。

マイルス・デイビスやビル・エバンスも「Lounge Jazz」の名盤を録音

さて「Lounge Jazz」の名盤レコード(CD)ですが、
チャーリー・パーカーやクリフオード・ブラウンの他、
ピアノではオスカー・ピーターソン、ビル・エバンス等が、
その他の楽器ではマイルス・デイビスやウェス・モンゴメリー等の
「一流ジャズメン」が「Lounge Jazz」の名盤を残しています。

大体が「ストリングス伴奏」付きで「甘いバラード」を切々と歌い上げる、
或いは、ミディアム・テンポで心地よくスゥイングする、という演奏が多いようです。

少し聴いてみましょう。

チャーリー・パーカーwith Strings
https://youtu.be/mmm9u8dPU4A

これは「モダンジャズ」の開祖であり「アドリブの天才」チャーリー・パーカーが
「ストリングス伴奏」で「流行歌」を演奏したものですが、
あからさまな「アドリブ」こそ少ないものの、メロディを少し変えたり、
リズムを変えたりで、何より「変奏」が巧いし、
音楽的にも案外にパーカーの個性がよく見える、という名盤です。


マイルス・デイビス&ギル・エバンス楽団/クワイエット・ナイト
https://youtu.be/PnCg05hrBWs

「ジャズの帝王」マイルス・デイビスと「ジャズの鬼才」ギル・エバンスの
合作ともなれば、やはり、物凄く深い、というか、難解な部分も出てきますが、
全体としては、当時大流行した「ボサノバ」風のサウンド。

実は、この「クワイエット・ナイト」はマイルス本人も「失敗作」だと切り捨てたようですが、「Lounge Jazz」として捉えると、やはり「極上の一本」となります。


ビル・エバンス/From Left to Right
https://youtu.be/BHRlxefKT_o

これは「ジャズピアノの改革者」ビル・エバンスが「ミッシェル・ルグラン指揮の
オーケストラ」と共演した、「ジャズファン」が無視したいが、
「Lounge Jazz」として第1級の作品。

エバンスは当時の時流に乗り「エレクトリック・ピアノ」を
「スタインウェイのグランドピアノ」と共に併用。「
Lounge Jazz」としては極上の一枚ですが、エバンスの作品として考えると、
ちょっと軽いかな、と思います。

ウエス・モンゴメリー/A Day in the Life
https://youtu.be/sjHiSePn1ts

ウエスは本来は「ジャズ・セッション」の名手であり、
「ジャズギター」の改革者でもありますが、
若くして亡くなった晩年は盛んに「Lounge Jazz」を録音しています。

ただ時代の関係か、伴奏は「ロック・ポップス」風。

これら等の「一流ジャズメン」による「Lounge Jazz」の録音レコード(CD)は、
日本では「一流ジャズメンが演奏している」という理由から、
当たり前のように「ジャズ」として扱われますが、
本来は狭義の「ジャズ」ではなく「ポピュラー(Lounge Jazz)」に分類すべきでしょう。

おまけ/僕による「Lounge Jazz」のレッスン風景
https://youtu.be/B0r1q39nTbs


*大阪梅田の「Lounge Jazz」の音楽教室です!

今回、改めて「一流ジャズメン」による「ポピュラー」、
即ち「Lounge Jazz」を聴き直して感じた事は、
やはり「一流のジャズ」をやっているな、という事。

逆に言えば「良質のLounge Jazz」をやるには、
「基礎」である「モダンジャズ」をちゃんと習得しなければならない。

そして「モダンジャズ」をちゃんと習得すれば、
「Lounge Jazz」に限らず、ライブハウスでの「セッション・ジャズ」
にも参加できます。従って僕の教室は、前述のように「スゥイング・ジャズ」や
「ニューオリンズ・ジャズ」
にも力を入れ、また「モダンジャズ」のセッションにも対抗できる能力を養成しますが、
「Lounge Jazz」にも力を入れています。

むしろ「うちはLounge Jazzの音楽教室です!」とさえ言えるくらい。

という訳で、漸く「モダンジャズ」の習得の話、
つまりは坂本輝先生の「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズを、
僕がどういう具合に活用したか?というついてお話できます。

つづく

大阪梅田芸術劇場北向かい 電話(0705)438-5371
メールでのお問い合わせは
http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon(2021年2月からの新URL)
リンクはマイルス・デイビスによる「Lounge Jazz」の名盤
「クワイエット・ナイト」


クワイエット・ナイト+1


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