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ジャズの基礎としてはクラシックを学ぶ方法/作曲を学ぶこと [レッスン]

「クラシックピアニストの為のジャズピアノ・レッスン」の第四回目。話を次に進める筈でしたが、今日もある「クラシックピアノの先生」から以下の趣旨の質問を頂きましたので、こちらへの回答を優先します。

質問「中学生のピアノの生徒について質問です。彼女は、現在、ベートーヴェンのソナタやショパンのワルツ等を勉強中で、将来、音楽の道に進みたい、との事。それは良いのですが、彼女は、クラシックピアノではなくジャズピアノを目指したいとの事。それでクラシックピアノを習うのを止めて、ジャズピアノ教室に変わりたい、と言い出しています。そんな中、(藤井の)ブログで、ジャズの基礎はクラシックだ、とありましたので、その事を彼女に伝え、クラシックをやめないように説得しました。ただ、ジャズも習いたい、というのですが、どうしたものでしょうか?」

うーん、これは「人生相談」ですね(笑)。

僕の立場では、「音楽の道」とやらを目指す事自体が、良い事なのかダメなのかわからないので、「ジャズピアノの道」については、何ともお答えできません。

とりあえず教養(情操教育)としてピアノを学ばれている、という前提で考えてみました。
生徒がクラシックをやめたジャズに転校したい、というのだが

基本的な考えとして、「ジャズの道」なんてものがあるとして、「クラシック・レッスン」を止めるのは間違っていると思います。

矛盾するようですが、僕の教室には、大人を対象に「ピアノもジャズも未経験の人」を対象とした「ジャズピアノ・コース」というのがあります(現在は、生徒さんよりも、講師を目指したい方募集中)

理想的にはある程度「クラシックピアノ」を習得してから「ジャズピアノ」を始めた方が良いのですが、大人の場合、そうなると「ジャズピアノ」を始めるのが、五年も十年も先になります。

かと言って「なんちゃってジャズピアノ」みたいな「イカガワシイ」事は僕の所ではやりません。

いわゆる「正しいピアノ奏法や運指」抜きにはジャズピアノも弾けないので、ピアノ自体を「ちゃんと弾けるようなる」ことは必修なのですが、だからと言って、バイエルやブルグミュラーである必要はありません。

僕の教室では、米国の教育家でNY市立大学教授の「リー・エバンス」氏のメソッドを使っていますが、これはブルグミュラーの代わりにジャズやブルースの曲を使いつつ、体系的にちゃんとしたピアノ奏法を習得する、というメソッドです。

この場合、生徒は「クラシック音楽」を弾くことないピアノ人生を始める事になりますが、敢えて言えば、大人に関しては別に「クラシックがなくても構わない」と思っています。

但し、将来的に「クラシックも弾いてみたい」と思った場合には、実は「リー・エバンス」等の「ちゃんとしたジャズメソッド」でピアノを習得した人は、バッハでもモーツァルトでもショパンでも、ちゃんと弾けるのです。

例えばエレクトーンで音楽を始めた子供や大人が、将来、ピアノでバッハが弾けるようになるのか、と言えば不明ですが、「正しいメソッド」であるリー・エバンス等で「ジャズ」を始めた人は、自然と「クラシックピアノに必要な技法」を習得している訳で、クラシックも弾ける、という所存です。

ちなみに、これは大人の話であり、中学生の場合はどうなのかな?

子供にはクラシックを与えるべき

そういえば、以前、小学生の子供を連れたお母さんが僕の教室に来られ、「ウチの子供は落ち着きがないので、クラシックみたいな堅苦しいものは向いてません。ジャズだと自由に弾ける筈なので、ジャズを教えて欲しいのです」と言われました。

申し訳ないが、僕は即座にお断りしました。

他の教室ではクラシックピアノを習うので、僕の所ではジャズを習いたい、というのであれば大歓迎ですが、「クラシック」をちゃんと弾けない子供は、ジャズも弾けません。

世の中には「ウケ狙い」の変な「ジャズ教室」もあって、子供やティーンに「めちゃくちゃ」な事を弾かせて「自由に音楽を楽しんでいる」なんて宣ってたりする場合もありますが、ウチに限らず、「マトモなジャズ教室」は、かなり厳格にリズムやなんかを教える訳で、勘違いした「自由」なぞありません。

結局「子供さんには、クラシックピアノならばお教えしますが、ジャズはお教えしません」みたいな話でもの別れとなってしまいました(;_;)。

ジャズをやりたいならば「クラシックの作曲」を勉強すればいい

では、どういう子供が「ジャズ向き(?)」なのか?

「楽譜をちゃんと弾こうとしない子供」というのは、ジャズが向いているとか、なんとか言う以前に、「落ち着いて座る事」の修行なんてのをやればいいと思いますが、どう言う子供や大人が「ジャズ向き」なのか?

僕は、それについては「作曲が好きな子供」と答えるようにしています。

僕の教室は「ジャズピアノ科」だから、「即興(アドリブ)」も課題としてありますが、世間よくあるような「アドリブパターン」を覚えるような練習は一切やりません。

確かに「アドリブパターン」をコピペで演奏すれば、一見、それらしく見えますが、音楽としてツマラナイと思うんですね。こう言っては何ですが、ライブハウスで「セッション」している人達にせよ、所詮はコピペでやっている人が少なくなくて、聴いてて退屈します。

ところで「作曲」ですが、大雑把に分けて「歌曲」と「器楽曲」とでは違ったものになります。

この場合は「器楽」の作曲ですが、思いつくまま、とか霊感が降ってくる(笑)なんて人もいましょうが、そうではなく、「モチーフを展開」させる「形式の展開」を学びます。

それと「作曲しました。曲は頭の中にあります」なんてのはダメで、必ず五線紙の上に書かせるようにします、と言うか、そもそも「頭の中にある音を五線紙に書く」事の訓練が凄く大切なんですね。

普通の「クラックピアノ教室」では「作曲」は教えない、というか、そもそも先生が教えれるとは限らないけれども、僕の所では、必ず「紙の上に書く」形の「作曲」をやって貰います。
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これは僕(藤井一成)が監修している「リー・エバンス・メソッド」国内版の一部ですが、「作曲」というか「楽譜にかけるようになる訓練」をやっています。殊更に「ジャズ風」である必要はなく、「クラシック風(?)」だろうとも、ちゃんと「モチーフ」を展開させれる事が肝要。

よく「音楽は理論ではない〜」なんて宣う「文盲」の御仁がおられますが、そういう御仁に限って、ワンパターンで退屈な音楽をやってたりする訳で、やはり「理論」を「感性」で拡大できてこそ、クラシックなりジャズなりになるという所存です。

本当に楽譜が読めれば「即興」はできます

結論から言えば「ジャズなんぞ、いつでも勉強できる」し、「本当にクラシックを学べば、ジャズの基礎が形成される形成されるはずです。


これは前回も書きまたが、端的には「本当に楽譜が読めれば、即興演奏や作曲なんか直ぐにできます」と。
単に「ド」と書いてあれば、ドの鍵盤を叩けば済む、後は「勝手な感情を添える」と言うのが、よくある「クラシックピアノのレッスン」ですが、こう言うのは日本独特の「変なスタイル」何です。

同じ「ド」であっても Dm7の中の「ド」なのか、A♭7の中の「ド」なのか、で意味が違ってくるので弾き方も変わってきます。

ところでそもそも、今弾いている和音が「トニック」なのか「ドミナント」なのかを判別しようともしないし、そもそも判別する能力もない「ピアノの先生」が少なくないのですが、こう言うのは、やはり「我流でピアノを弾いているだけ」。

だから本当に意味での「基礎」にならないから、クラシックも弾けてない。「あたしは、楽譜通りには弾けるが、即興はできません」なんて堂々と言われますが、これ実際には「楽譜が本当に読めないから、即興する能力もない」と告白しているようなものです。

なんて相変わらず「ひとの商売を邪魔する」お説法をやらかしてしまいましたが、深く、クラシックを学びさえすれば、ジャズなんて直ぐにできます。

将来、「ジャズピアノをやりたい」ならば、深くクラシックを学ばれる方が良いとアドバイスします。

ジャズは成人してから始めても遅くない。ティーンエイジャーが「軽業師」みたいにジャズを弾いているのを見ると、気色が悪いし、それこそ「二十歳を過ぎればタダの人」になる訳で「人生を失敗」します。

「基礎」をじっくり育ててこそ、未来は明るい !

と言う相変わらずの話になってしまいました。つづく

大阪梅田芸術劇場北向かい Kimball Piano Salon 音楽教室主宰 藤井一成
レッスンやこのブログの内容へのお問い合わせはホームページにアクセスし、メールでお送りください。
http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon












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クラシックピアニストの為のジャズ・レッスン/ショパンが原点 [レッスン]

「クラシックピアニストの為のジャズピアノレッスン」というテーマの三回目。

前々回に「ジャズピアノの巨匠アート・テイタムを、クラシックピアノの、20世紀最大の巨匠ウラディーミル・ホロビッツ が賞賛した」と書いた所、「その理由を教えて !」になんてご要望もあり、前回は詳しく書く予定でした。

ところが、あるクラシック系音大の学生さんから「ジャズピアノを学びたい気もするが、クラシック経験がダメになるのではないと心配しているが、実際、どうなのか?」というご質問が入り、それについての回答を前回は書きました。

それで、今日こそは「テイタム&ホロビッツ 」について書くつもりでしたが、始めに僕が「クラシックピアニストにオススメのジャズはレトロスウィング系なストライドピアノだ」と書いた所、「肝心のストライド・ピアノがどういうものが分からないから説明してくれ、というご指摘メールをいただきました。

という訳で「テイタム&ホロビッツ 」に付いては次回お話しするとして、今日は「クラシックピアニストにお薦めのジャズスタイル」である1930〜40年代の「ストライドピアノ」に付いてお話しします。
ストライド奏法とは?

何度もこのブログで書きましたが、日本で「ジャズ」を意味する「ライブハウスでセッションする1950〜60年代スタイルのモダンジャズ」だけではなく、1920年代の「ニューオリンズ・ジャズ」や1930年代の「スウィング・ジャズ」等様々あります。

「ストライドピアノ」は、1920〜40年代頃に発達(流行)した「スウィングジャズ」の一種、つまり「ピアノソロ」を前提とした系音楽スタイルです。

「ストライドピアノ」のいわれは、「ストライド」と呼ばれる「奏法=編曲法」が多用される事にあります。では「ストライド奏法」とは何かと言えば、下記の楽譜のように、左手が10度(例えばドとオクタープ+3度上のミ)のベースを弾き、次にその10度を「ストライド(またいで)」して和音を弾きを、繰り返し続ける事にあります。
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尤も実際の「ストライドピアノ」は、「ストライド奏法(編曲法)」ばかりやる訳でなく、様々なピアノ奏法(編曲法)が用いられます。

下記は「ストライドピアノ」の最高峰、アート・テイタムの即興演奏を採譜した楽譜ですが、そもそも1ページ目には「ストライド奏法」は登場しません。
 
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実際に楽譜を弾く、この「10度と和音を交互に弾くストライド奏法」はなかなか難しく、それ故、
「ショパンやリストのピアノ曲が弾けるクラシックピアニスト」にこそ、「ストライドピアノ」修得を目指して頂きたい訳ですが、「ストライドピアノ」の最初の全盛期は1920年代頃でした。

1920年代のニューヨーク、当時は高級住宅街だった「ハーレム」のクラブでは夜な夜な「ストライドピアノ」の華麗な演奏が競われました。

当時の巨匠、JPジョンソン、ユーピー・プレイク、ウィリー・ザ・ライオン・スミス等の黒人ピアニスト達は、正に「超絶技巧」と共に「高い音楽性」で聴くものを酔わせます。

その中の一人、1890年代の生まれの「ユービー・ブレイク」の演奏をご紹介しますが、勿論、1920年代(当時は録音できず自動ピアノに録音)や1930年代の素晴らしい演奏もありますが、敢えて1970年代、つまり、ブレイクが90歳頃のコンサートの様子を収めたこの動画を観てみましょう。

https://youtu.be/21SMdsr-i78

ブレイクは、この十年後に「100歳のコンサート」を催した程に元気で長生きしました訳で、この90歳頃は、十年後と比較すれば「若い頃(?)」と言えなくもないのですが、流石に壮年時代と比較すれば、技術的には衰えている筈ですが、それでも「華麗な技法」は健在。

また「音楽的」には、無駄がない立体的な構築と、豊かな歌ごごろとで、音楽として楽しめる演奏である事は確かです !

同じく1920年代の「ハーレム・ストライド」の巨匠、ウィーリー・ザ・ライオン・スミスの1965年、パリでのライブ演奏動画を観てみましょう。

https://youtu.be/_j_xXlHZr5g

しっかりしたピアノ技術と、ハッピーな雰囲気、しっとりした情感で、とても楽しめます。

この「ストライドピアノ」の全盛期である1920〜40年代頃にかけて、どうも米国の観衆は、ジャズに限らずクラシックでも、ピアニスト対し「超絶技法」を求める傾向があったようです。

例えば1930〜40年代に「ストライドピアノ(ジャズ)」とクラシックピアノの両分野で「天才少女」と呼ばれた黒人のヘンゼル・スコットの演奏を観て下さい。

https://youtu.be/OSkfgxe0oFw

物凄い技巧ですね。10度と和音を交互に弾く「ストライド奏法」も凄まじい。

しかし、僕はヘンゼル・スコットによる、この手の「超絶技巧」をひけらかす演奏は、あまり良いとは思いません。ヘンゼル・スコットは、黒人女性ですが、ジュリアード音楽院でクラシックピアノを学びました。(黒人がジュリアードでクラシックを学ぶ事自体は、珍しい事ではなかったようですが)。

そしてスコットは「超絶技巧」のみならず、「高い音楽性」の持ち主でしたが、どうも市場から、「超絶技法の見せびらかし」を要求され、かえって「音楽性」について注目されなかったようです。

ちなみに「超絶技巧」という点では、時代を少し進む1930年代もキラ星揃いですが、やはりアート・テイタムの演奏は群を抜いてしました。

https://youtu.be/aNAJlqn0nO4

凄まじい技巧ですが、しかし、高度な音楽性を有するのがテイタムの素晴らしい所です。

何れにせよ、テイタム的な事をピアノ演奏しようとするならば、「ショパンの練習曲全曲を習得した経験」がある方が有利な事は確か。それ故、「クラシックピアニスト」にこそテイタムのような「ストライドピアノ」がお薦めな訳です。

ちなみに私自身は、テイタムの技巧は無理なので、テイタムの音楽構造を模倣しつつ、ずーっとシンプルな独自のストライドピアノのスタイルを作っていますげとね。

ストライドピアノの原点は「ラグタイム」or「ショパン」?

「ストライドピアノ」には「ストライド奏法」だけではなく、様々なピアノ音楽の要素で構築されている、と前述しましたが、では「ストライド奏法」自体は、いつ生まれた?と思いますか?

いわゆる「ジャズ史」の通説では、1930年代の「ハーレム・ストライド」を遡れば、1920年代の「ニューオリンズ・ジャズ」が見えてきます。

「ニューオリンズ・ジャズ」の自称「創始者」であるピアニストで作曲家のジェリーロール・モートンの演奏を聴いてみましょう。

https://youtu.be/ujFWZrs6pow

これも「ストライド奏法」の一種ですが、まだ「10度のベース」は用いられず、単音のベースと和音の繰り返しだったようです。

ちなみにモートンの音楽スタイルは「ストライドピアノ」だけではなく、今でいう「ラテン音楽」的なものもあります。

https://youtu.be/MkGjDbKauVo

このジュリー・ロール・モートンは、映画「海の上のピアニスト」でも「ジェリーロール・モートン」として登場します。

https://youtu.be/6yHLYc8IJT0

尤も誰が演奏しているのか知りませんが、本物のモートンの演奏と比べると「品格」がなく、僕なんぞは、このシーンだけで映画全体のイメージが悪くなった程ですが、要するにモートンは素晴らしかった、という訳ですね。

ラグタイムが「ストライドピアノ」の原点?

更に「ニューオリンズ・ジャズ」を遡ると、19世紀末から1910年代に流行した「ラグタイム」というスタイルがあります。

ピアノ発表会の定番、スコット・ジョプリンの「エンターティナー」も「ラグタイム」の名曲の一つと言えます。

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「ラグタイム」も「10度の左手ベース」はなく、単音と和音の繰り返しに止まりますが、「ストライド奏法」である事にはなく、「ストライドピアノの原点」は「ラグタイム」と言っても間違いではなさそうです。

では「ラグタイム」の原点は何かと言えば、19世紀末当時、ニューオリンズで人気が高かった「マーチ・バンド」でしょう。

「マーチ」をピアノ編曲した例として、運動会でよく使われる「クシコスの郵便馬車」という曲の楽譜を見ますと、簡単な「ストライド奏法」が用いられている事が分かります。

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19世紀末、「マーチの王様」と呼ばれたジョン・フィリップ・スーザによって多くのマーチが作曲され、軍楽隊を始め、多くのマーチバンドが結成されました。

その「マーチ」をピアノに移したのが「ラグタイム」な訳で、結局、「ストライドピアノ」を原点に遡れば「マーチ」になるのか、と言えば、これも違う訳ですね。

ショパンのノクターンが「ストライドピアノ」の原点 !

「ラグタイム」については、改めて別の機会に詳しく述べたいと思いますが、元々は「クレオール」と呼ばれた混血黒人によって作られたピアノ、バイオリン、クラリネット等の「室内楽」的な音楽だと言えます。

米国史ではつい避けられてしまうようですが、南北戦争以前のニューオリンズは、少し前までフランス領土だった事もあり、フランスの法律で州が運営されていました。

フランスの法律では奴隷黒人(女性)と主人である白人(男性)の間に生まれた子供は、奴隷ではなく、主人の側、つまりは「白人(フランス人)」として扱われ、フランス式の教育を受けました。

やがては成人した「クレオール」は父の財産を相続し、つまり「奴隷農園の主人」に収まる人が多かったようです。

この辺りの「史実」については、タブー視されているようですが、混血とはいえ黒人である「クレオール」達は、「奴隷農園の主人」として奴隷達を過酷に搾取し、或いは南北戦争では、南軍(奴隷解放反対)として戦った訳です。

或いは南北戦争終結までは、ニューオリンズの市会議員や銀行の半数が「クレオール」だった程で、今の価値観では「黒人」ながら、当時の「クレオール」の大多数が中産階級の生活を甘受したようです。

ところが南北戦争の敗戦によって、奴隷制は崩壊し、つまり「農園経営」が難しくなった事、新たに制定された北部式法律により、「クレオール」は「黒人」に分類されるようになった事等で、要するに「クレオール」の没落が始まります。

結局、没落した「クレオール」は、女性は、元の屋敷を改装しての高級「売春宿」を経営し、男性は「売春宿のピアノ弾き」に収まった、というのが定説です。

ところで「クレオール」達は、元々「フランス人」として、フランス式の教育を受け、フランス語を話し、音楽については「クラシック音楽」を演奏したようです。その際、トランペットやサックスのような屋外楽器ではなく、ピアノやバイオリン、クラリネットのような室内楽器が選ばれた訳で、「ラグタイム」もやはりピアノやバイオリン等の室内楽的な音楽でした。

ここで注意したいのは、日本に限らず、米国でも「ラグタイム奏者」というのは、例えばライブをすれば全曲「ラグタイム」で演奏しますが、本来の「売春宿のピアノ弾き」は「ラグタイム」ばかりをやっていた訳でなく、バラードやワルツ、ポルカ等、なんでも演奏し、また、演奏できる技能を有しました。

記録によれば、「売春宿のピアノ弾き」の収入はなかなかのもので、今の価値で言えば、一晩に十万円位稼ぐのもザラだった上、多くは、売春婦のヒモになり、かなり怠惰な生活を送ったようです(羨ましい/笑)

クレオールによる「ラグタイム」が生まれたニューオリンズには、他には元奴隷の黒人達による、解散した南軍の放出楽器にブラスバンドの「マーチ」、或いは娯施設で歌われた「ブルース」等がありました。

それらの三種の音楽は、いわば敵対していたようですが、1920年代の南部不況の際、黒人が北部へ一斉に大移動し、東部のNYは遠いので、中間に位置するシカゴに彼らが止まった末、「ラグタイム」「マーチ」「ブルース」等が融合して作られたのが前述のジェリーロール・モートン(ピアノ)やルイ・アームストロング(トランペット)、シドニー・ベシエ(クラリネット)等による「ニューオリンズ・ジャズ」です。

では、それらの動きと「クラシック音楽」が関係していたのか?という問題ですが、私は「ある」と断言できます。

というのは、前述のように「クレオール」達はフランス式教育、つまりは「クラシック音楽」の素養があった、という事もありますが、特に1920年以後、NYで発展した「ハーレム・ストライドピアノ」にショパン等の影響が多く見られるからです。

下記はショパンの「夜想曲」のいくつかの曲の一部ですが、完全に「ストライドピアノ」しています !
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そしてNYに住む黒人音楽家には、これらのクラシック音楽を学ぶ機会は充分にありました。何故ならば、黒人達同様に貧しい生活を強いられたヨーロッパ移民の中には、優れた音楽家は少なくなく、つまり1920年代当時としては最新のメソッドでクラシック音楽を学ぶ事が可能だった訳です。

それらの音楽技法が「ハーレム・ストライド」を構築していく要素になった筈です。

ショパンやリストの学んだ経験が「ストライドピアノ」では完全に活かせる

私の結論として、JPジョンソンやユービー・ブレイク、ライオン・スミス等の1920年代の、アート・テイタム、テディ・ウィルソン、アール・ハインズ等の1930年代の、「ストライドピアノ」の巨匠の音楽の背景には、ショパンやリスト等の「クラシック・ロマン派」が強く影響していると言えます。

つまり「ストライドピアノ」を習得する「過程」として「ショパンやリストの習得」が必要だ、という訳ですが、例えば「プロのジャズピアニスト」であっても、今までショパンやリストの音楽を習った事がない人が、これからショパンやリストを始めるとなれば、それは無理でしょう、としか言いようがありません。

しかし、既にショパンやリストを学んだ経験のある「クラシックピアニスト(趣味で習うピアノ学習者も含め)」ならば、「ストライドピアノ」習得に必要なスキルの内、少なくとも七割は既に有している、と言えましょう。

後の三割を学べば、「プロのストライドピアニスト」としての活躍は夢ではありません。

という訳で「クラシックピアニストの為のジャズピアノ」として「ストライド」をお奨めすると共に、僕のところでレッスンを始めていますので、リアル(大阪梅田)或いはオンラインでの受講が可能ですのでご興味がある方は下記ホームページからメールでご連絡下さい。或いは電話もOk。

次回「アート・テイタムとホロビッツ の関係」についてお話しします !つづく

大阪梅田芸術劇場北向かい Kimball Piano Salon 音楽教室 主宰 藤井一成
電話(070)5438-5371 (直) http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon



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質問「ジャズピアノを習うと、クラシックピアノ経験がダメになりますか?」 [レッスン]

前回、「クラシックピアニストにお薦めのジャズ」スタイルは、モダンジャズよりも一昔古い「スウィング・ジャズ」の「ストライドピアノ」スタイルだと申しました。

日本では「ジャズ」といえば、ライブハウスでセッションする「1950〜60年代のモダンジャズ」を意味しますが、世界的には、それよりも1世代古い「スウィング・ジャズ」も結構盛んです。日本でも若い人を中心に「スウィング・ジャズ」が盛り上がりつつあります。

僕自身は本来「モダンジャズ」系のピアノ奏者/講師でしたが、「スウイング・ジャズ」の勉強も始め、早十年以上経ち、漸く自分なりの「スウィング・ジャズスタイルのピアノ」が弾けるようになったと思えるようになりました。

かつ「雰囲気=我流」ではなく、技術的、音楽理論的にも体系化できたので、皆さんに対しても、レッスンを呼びかけるようになったですが、そのお陰か色々な方が、大阪梅田にある僕の教室に習いに来られます。或いは「オンライン」でのレッスンを受講されます。

僕の生徒さんと言うのは、大雑把にいえば「クラシック(のピアノや声楽の)経験がある人」とない人とに分かれますが、中級以上の方の大多数は「クラシック経験」があります。

とはいえ「クラシック経験」も「子供の時に近所の教室でソナチネとかを習った」と言う趣味レベルの人もいれば、クラシック系音大を卒業し、クラシック演奏会を主宰される方もおられます。

まぁ、色々な経歴の人が来られた方が面白い事は確かですが、最近、僕も年老いた(笑)せいか、昔に戻る、と言うか「クラシック世界」も重視したいと思うわけでして、いっそ「クラシックピアニスト/声楽家専門のジャズ教室」なんて事も考えなくもないのですが、これも変ですよね。

とは言え、現実に「クラシックピアニスト/声楽家やレスナー」の方の入門(入会)が増えている訳で、かれこれ「クラシックピアニスト/声楽家のためのジャズ」レッスンも力を入れています。

クラシックピアニストには「モダン・ジャズ」よりも「スゥイング・ジャズ」スタイルがお薦め

ところで前回から「クラシックピアニストには、モダンジャズではなくスゥイングジャズ系の方が合致するのか?」というお話を始めていました。

前述もしましたが、このブログで何度も書きましたが、「ジャズ」と一口に言っても「時代別」に様々なスタイルがあり、日本では「ジャズ=1950〜60年代のモダンジャズ」を意味するが、1930〜40年代の「スゥイング・ジャズ」もなかなか良いと。

そして「クラシック・ピアニスト(クラシックピアノ経験が長い人)」には「モダンジャズ」ではなく「スウィング・ジャズ」のピアノスタイルである「ストライドピアノ」がお薦め、とも言いました。

種明かしをすれば、僕の教室に習いに来る「クラシックピアニスト/声楽家」つまりクラシック系音大等を卒業された方というのは、単に「ジャズに興味があるから」と言う軽い気持ちではなく、「できればジャズ系の仕事もしてみたい !」と言う下心(笑)と言うか希望満載で扉を開かれます。

その場合、今更「モダンジャズ」で身を立てる事は難しいから辞めといた方がいいですよ、と実態をお伝えしますが、「スウィグ・ジャズ」ならば充分可能性はある、とお伝えしています。

実は、あらゆる「ジャズ」は、基礎として「クラシック」の技術や知識の上に成立していますが、かと言って、「ライブハウスでセッションしている1950〜60モダンジャズ」の場合は、「クラシック以外の音楽要素」が沢山詰め込まれています。

クラシックの素養が邪魔になる、と言う事は全くありませんが、その「クラシック以外の音楽要素」を今更修得するのは困難でして、趣味で楽しみ程度ならばともかく、職業的な活動を目指すのは不可能に近いとお断りする次第です。

ところが「スウィング・ジャズ」のピアノや歌の場合、もう必要とする音楽技能の80パーセントが「クラシック」そのものなんです。

別な言い方をすれば「ライブとかをやっているプロのモダンジャズ・ミュージシャン」と言えど、「スゥイング・ジャズ」に「転向」しようと思えば、「クラシック技能(経験)」が充分ではないから、敷居が高いのに対し、案外、「クラシックピアニスト」の方が達成させ易い、と言う訳です。

かつ、卑近な話でいえば、「スウィングジャズ系/ストライドピアノ」の方が、「ライブハウスのセッションには合わない」かも知れないが、ホテルやなんかのピアノ演奏の仕事には適する訳で、職業として成立する可能性が少しは高い訳ですね(煽っている訳ではございませんが/笑)

と言うわけで「クラシックピアニスト/声楽家/レスナーの為のジャズ教室」なんて事を大阪梅田で主宰している次第です。

ところで前回は、「なぜクラシックピアニストにはスウィングジャズが合うのか」と言う説明の一環として「スウィングジャズ系ピアノの巨匠アート・テイタムを、20世紀最大のクラシックピアノの巨匠ウラディーミル・ホロビッツ が賞賛した」と言う話をご紹介しました。

今日は「ではホロビッツはテイタムのどの部分を賞賛したのか?」と言う事をお話するつもりでしたが、前回、投稿に対し、早速、メールにてご質問を頂きましたので、その趣旨をご紹介します。

質問「クラシックピアノをずっと続けて来たが、ジャズピアノをやると、自分の音楽が崩れそうで、ジャズに飛び込めない。どうしたものか?」

と言う訳で、今日は予定を変更し、そもそも「クラシックピアノとジャズピアノは両立するのか?」というテーマでお話したいと思います。

ジャズとクラシックは音楽的に物凄く遠いから、足を踏み入れるのが怖い、と言うのがご質問。

ではジャズとクラシックは全く違う音楽なのか?

そういえば直接、先日、ある人から「ジャズ向きのピアノはどう物ですか?」というご質問を頂きました。

面倒臭いので「ジャズ向き?あぁ、それならばベーゼンドルファーだ」と答えておきましたが、実際はスタインウェイだろうがファッオーリだろうが、ベヒシュタインだろうが、要するに「良いピアノ」であれば、クラシック同様にジャズも弾き易い訳です。

これも蛇足になりますが、ベーゼンドルファーといえば、何年か前に「新型」と称する「ベーゼンのボディに、ヤマハのアクションが入ったような(違っていたらご免なさい)モデル」を試奏させて頂きました。

その際に、一時間位、その新しいフルコンのベーゼンドルファーを弾かせて貰える事になっていましたが、僕は十分位、弾かせて貰った後、出てしまいました。

そのピアノのアクションがヤマハ製なのかどうかは不明ですが、メーカーの説明に寄れば「ジャズピアノ等にも対応できる現代的なアクション」とやらが組み込まれたそうです。

では一応「ジャズピアニスト」である僕が、その「ジャズピアノにも対応できる」ベーゼンを気に入ったのか、といえば、むしろ旧来の「ベーゼンのアクション」のモデルの方が弾き易いし、更に言えば、1970年代以前の「ウィーンアクション」の方が思った通りの音が出るので好きな訳です。

1970年代頃まであった、昔式の「ウィーンアクション」というのは、弾き難いが、「音を創流」と言う点では繊細かつダイレクトに指と繋がり、僕としては、どうせベーゼンならば、上滑りするような「ジャズピアノ向き(?)の現代的なアクション」よりも、かってウィーンのクラシックピアノの巨匠ウィルヘルム・バックハウスが愛用していた昔式の方が「弾き易い」と僕は思う次第です

これも蛇足ながら、どうせ「ヤマハのアクション」を使うのであれば、いっそボディもヤマハの方が理にかなっているし、ヤマハなりのバランスの良さももあり、ヤマハはヤマハで僕も結構好きです。

これも蛇足ですが、僕は「戦前のベヒシュタイン」も大好きですなんですね。

メーカー自身は否定するけれども、ドイツの名器ベヒシュタインも戦前と戦後〜今時とでは、相当に変わってしまったと思いますが、やはり戦前にクラシックの巨匠であるルドルフ・ケンプやアルトゥール・ルービンシュタイン、ディヌ・リパッティが愛用していた頃のが僕は好きです。

要するに「ジャズ向きピアノ」なんてものは存在せず、クラシックにも良いピアノは、ジャズ二も良い、という訳です。

なんて言うと「だけど、ジャズとクラシックでは、CDで聴かれるピアノの音が全然違うぞ」と返す人がいます。
ジャズとクラシックではCDのピアノの音が違うのはなぜ?

勿論、整音やタッチの整調が違う時もありますが、「録音の際のマイクセッテイング」が、クラシックとジャズとで違い、ジャズの方がマイクをピアノに近づけて録音するようです。

ちなみにグレン・グールドやCBS時代のホロヴィッツの録音は、ジャズ的と言いますか、マイクをピアノに近い位置にセットした録音でしたし、1960年代頃までは、クラシックもかなりマイクを近づけて録音したようです。

1970年代頃から、クラシック録音は「残響豊かなホール」等で録音する事が増え、そうやって制作されたレコード/CDを「ええ響きやなぁ」なんて言う人が少なくないのですが、響に誤魔化されて、肝心の演奏の細部が聞き取れないので僕は嫌いですね。

そう言えば戦前のクラシック指揮者の大巨匠であるトスカニーニも、録音に祭し、「残響」を嫌い、徹底的に「残響なし」の環境で録音したそうです。

これも蛇足になりますが、東京のサントリーホールやら大阪のイズミホールは「長い残響」がジマンのようですが、下手なピアノも綺麗に響くと言う点は宜しいが、本当の名手の演奏を聴くとなると、この「長い残響」が邪魔になるので、僕は「残響」が加わらない前の方の席で聴くようにしています。

ジャズ特有の「タッチ(弾き方)」なぞない!

ところで「ジャズを始めるかどうか迷っているクラシックピアニスト」にとって、もう一つの悩みは「クラシックとジャズではタッチ(弾き方)が違うのではないか」という問題があります。

実際、ある「ジャズピアノの先生」のレッスンを受けた所、学んできた「クラシックピアノの弾き方」とは違う弾き方を強要され、更には「ジャズの場合、こういうタッチで弾くのだ!クラシックの弾き方をするな !」と叱られトラウマになった、なんて人もいます。

僕はその現場を観た訳ではないので、その「ジャズピアノの先生」がどんな弾き方をしているのかは定かではありませんが、どうせ「ヘタクソなピアノ弾き」だろうな、思います。

尚、それこそ「クラシックと違う感覚」として、ジャズの場合「ヘタクソでも構わない」という価値観もアリな訳で、その「ジャズピアノ先生」が演奏者としてもダメ、とは限りませんけどね。

そもそも何をもってウマい、とかヘタクソを判断する基準は各人様々な訳ですが、敢えて言えば「クラシックピアノの技術」の多い少ない=「上手/下手」の基準と言えましょう。

そして「クラシックピアノ経験が全くない」まま「プロのジャズピアニスト」になった方も少なくなく、且つ、その方が演奏家として素晴らしい、と言う事もありましょう。

但し、僕自身は長年「クラシックピアノ」トレーニングを積んでおり、あまり大きな声ではいえませんが(笑)、僕の所に「ジャズピアノを習いに来た」ついでに、僕から「クラシックピアノのレッスン」を受ける音大ピアノ科卒の人も案外少います。(注/僕自身のクラシック・レパートリーは極めて限定的ですけど)

要するに「ジャズ固有の弾き方」なんぞ存在しません。但し、敢えて言えば「クラシック的な音色」を有さないジャズピアニストも少なくないが、まぁ、大体の「上手いジャズピアニスト」と言うのは、クラシックもそれなりか、それなり以上ら弾ける人が少なくないと言う訳ですね。

これも予めてお断りましが、僕のピアノの弾き方というのも、「日本のクラシックピアノの弾き方」しか知らない人からすれば違和感があるかも知れません。

その理由は僕が「変」なのではなく、言っちゃあ悪いが「日本のクラシックピアノの弾き方」が「変」と言いますか「欧米の正統的なクラシック演奏法」とはかけ離れているからだからです。

僕の弾き方は「欧米のクラシック演奏法」からすれば「普通」な筈です。

結局の所、「ジャズ固有の弾き方」なんぞ存在せず、「日本人独特の変な弾き方」ではなく、「欧米の正統的なクラシック奏法」であれば「正しいジャズピアノの弾き方」ができる、と言う訳です。

敢えて言えば、僕のところで「正しいジャズピアノの弾き方」を修得されれば、自然とモーッアルトだろうがショパンだろうが、より美しく、表現力豊かに弾けるようになる、と言う訳です。

「ジャズピアノ教室に習いに行ったから、クラシックが下手になった」なんて事があれば、その「ジャズピアノ教室」はインチキだと言えましょう。
ジャズ固有のリズムに乗れないのだが、というお悩み結論、「ジャズピアノを習った事でクラシックも上達」するのが本物

なんて事を色々と書きましたが、要するに「正しいジャズピアノの先生」の場合は、
「長年習ってきたクラシックピアノの感覚」が駄目になる筈がなく、また「ジャズとクラシックを分けて考える必要すらない」事を理解させて貰えると思います。

「クラシックとジャズとでは弾き方やリズムが違う」とか「クラシックとジャズとでは音楽理論が違う」なんて言う先生がいるとすれば、所詮は「ニセモノ」でしょう。

「クラシックの先生」が「ジャズは違う」なんて言われたとしても、それは致し方ない。
「クラシックの先生」が「ジャズについて知らない」のは当然だから。

しかし「ジャズの先生」が「クラシックとジャズは違う」と安易に言うとすれば、その先生の「ジャズ」自体を疑うべきです。

真摯に勉強すれば、ジャズというのは、クラシックの技術や理論の延長線上にある事が理解できるからです。勿論、「クラシック経験や技能なし」に素晴らしいジャズ演奏をすることは可能ですが、そういう人の場合、教える相手を選ぶ(クラシック経験がない生徒)に限定すべきでしょう。

おっとなんの事ない、同業者の悪口(笑)で話が終わってしまいましたが、要するに「クラシックもジャズも本来は同じ」なわけで、「クラシック経験が長い人」も安心して「ジャズ」を習って頂きたいと思います。

という訳で「ジャズピアノの巨匠アート・テイタムとクラシックピアノの巨匠ホロビッツについて」は次回に続きます。

尚、僕のレッスン(リアルは大阪梅田、オンラインは全国どこでも可能)へのお問い合わせ等は、ホームページからメールで頂けるとありがたいです。或いは電話もOKですが、詳しい事をFace-timeやLine等でオンラインでお話しする事も可能です(要予約)。ではでは次回 !

大阪梅田芸術劇場北向かい Kimball Piano Salon 音楽教室 主宰 藤井一成
電話(070)5438ー5371 http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon

写真は僕ですー
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クラシックピアニスト/レスナーの為のジャズピアノ教室1 大阪梅田 [チャールストン倶楽部]

皆さん、こんにちは、というか随分ご無沙汰してました。大阪梅田Kimball Piano Salon主宰の藤井一成です。ジャズピアノとジャズボーカルのレッスンと演奏をやってます。

なんて改めて自己紹介しましたが、もっぱらYouTubeとフェイスブックの発信に偏り、このブログは休眠状態でした。

フェィスブックとブログの違いは、ブログの方が長文が書け、言いたい事をじっくり書けて良いのですが、この二年のコロナ渦以来、改めて発信するような話もなく、むしろ、オンラインを活用しての色々な人との交流が楽しい、というか必要で、そちらに偏っていた次第です。

尤も、二年も経れば周辺の状況も変わるし、自分が「やりたい事&やれる事」も変わり、新たな計画を発表させて頂こうかとか、思う訳で、詳しく書けるブログに復帰した次第です。

ピアノソロに挑戦する=クラシックピアニストの為のジャズを提唱

この二年間、コロナの影響でやりづらかったのが、「ボーカルとの合奏」でした。
ボーカルとピアノとのデュオも楽しいが

僕は格別に「ボーカルの伴奏」が好きな訳ではありませんが、若い頃から、「歌手の伴奏の仕事」とのご縁が強く(若い頃はクラシックの声楽家を目指した事もありました)、又、この十年くらいは独自の歌唱メソッドによる「ボーカル科」を始め、生徒さんの伴奏も含めれば、毎日、何時間かは「ボーカルの伴奏」をする年月を過ごしていた訳です。

「伴奏」と一口に言っても、トランペットやサックスと「ボーカル」では勝手が違いますが、長年やってますと、自分の手が「ボーカル伴奏向き(?)になってしまった気がします。

巷で言われる「歌の邪魔をしない伴奏」とは、はっきり言って「下手な伴奏」に過ぎず、音楽全体のメロディやハーモニー、リズムを理解し、しっかりしたタッチで、歌手と共に音楽を立体構築するのが本来のあり方ですが、それでも歌手の声質に合わせてサウンドを変える事は必要。

だから「ボーカル伴奏向きな手(ピアノ演奏)」になる事は否めません。

僕のボーカルレッスン(リハーサル風景)https://youtu.be/DqnR85n-3HA

ところで、僕の場合、「伴奏」ばかりやっている訳でなく、ピアノがメインの「ピアノトリオ」の演奏も「本業」としてやっています。

ジャズの場合、ピアノといえどベースやドラム等の「伴奏」が必要だが

クラシックピアノの場合、ピアノソナタにせよ、ノクターンにせよ、「ピアノ一台によるソロ」が中心。

クラシックピアノをずっと習っている人で、一生、他の楽器と合奏せず、ずっとソロしかやらない、なんて事は珍しい事ではありません。

ところが同じクラシックでも、バイオリンやフルート、声楽等は「ピアノ伴奏」等が当然入って来ますから、一生「合奏しない」なんて人はいません。

同様にジャズの場合、ピアノであってもベースやドラム等の「合奏」なしでは、音楽として成立せず、ジャズでの「ピアノソロ」とは、クラシックの「無伴奏バイオリ・パルティータ」のように、いわば「無伴奏ピアノ音楽」という事になり、なかなか厄介。

「ボーカル伴奏」をする場合も、ベースやギターの「伴奏」があれば、ピアノは凄く楽なんです。

僕のユニット/Chat noir https://youtu.be/7X_Wy34AykI

尤も時勢柄、「編成を最小限にしてくれ」と言う条件が少なくなくて、結局、ボーカルとピアノの二人で出かける、と言うパターンが増えましたが、ボーカルがメロディーを担当し、それ以外をピアノが担当する、というのは、正直言って、ギリギリ、楽にやれる範疇なのです。

困るのは時節柄「ボーカルも要らないから、藤井さん、一人でソロピアノやってよ」なんて依頼が入る場合なのです。

勿論、仕事の依頼は嬉しいのですが「厄介な仕事だな」と内心思ってしまうのは、前述のように「ソロピアノ」とは、クラシックのバイオリストがピアノ伴奏なしでコンサートをするようなものだからです。
1930年代のストライドピアノ=アメリカ版のショパンやリスト

ところで、このブログで何度か書きましたが、一口に「ジャズ」と言っても色々あり、日本で「ジャズ」を意味する1950〜60年代の「モダンジャズ」だけではなく、1930〜40年代の「スウィング・ジャズ」や1920年代の「ニューオリンズ・ジャズ」など様々あります。

僕自身は、十代から「モダンジャズ」を聴き、いわば「モダンジャズの道(?)」を志した事もあり、むしろ1970〜80年代の「フュージョン」をやってみたり、案外に1990年代の「打ち込み系のクラブ・ジャズ」をやってたりします。

(番外編/打ち込み系のクラブジャズでの僕の演奏https://youtu.be/bUJQGXhGih0)

逆に、より古い「スウィングジャズ」には興味がありませんでした。

しかし、考えて見れば、「スウィング・ジャズ」のピアノ奏法である「ストライドピアノ」は、「ソロピアノで完結」する、つまりはクラシックピアノ同様に、一人で完結するスタイルなので、これができるようになれば便利だな、と思い至った訳です。

そういえば映画「カサブランカ」の中でピアニストのサムがピアノソロや弾き語りで魅せてくれましたが、これも「ストライドピアノ」なのです。

映画カサブランカでのサムの演奏https://youtu.be/7vThuwa5RZU

ちなみに楽譜は「ストライドピアノ」の最高峰であるアート・テイタムの演奏を採譜した楽譜ですが、両手をフルに使った音楽だし、敢えていえばショパンやリストの延長線上にある音楽だとも言えます。

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クラシックピアノの巨匠、ホロビッツが唯一認めたピアニストは、ジャズの巨匠アート・テイタム

テイタムについて話せば、1930〜50年代に活躍(50年代に病死)した、未だにテイタムを越えるジャズピアニストは存在しない。と言わせる「ストライドピアノ」の最高峰です。

テイタムの映像 https://youtu.be/D9Cs_zb4q14

テイタムについての逸話として、「20世紀最大のクラシックピアニスト」と言われたホロビッツ(ウクライナ生まれでモスクワで活躍)がソ連革命を逃れ、パリを経て、米国に亡命した際、唯一、気に入ったのがアート・テイタムだ、というお話があります。

ホロビッツは実際に「世界一の巨匠」で超絶技法の持ち主。唯一、尊敬するピアニストとして先輩のラフマニノフをあげましたが、他のピアニストは全てバカにしていたようで、当時、ホロビッツと人気を二分したアルトゥール・ルービンシュタインなぞ、勝手に「格下」と見なしたいたようです。

ホロビッツの自作自演 https://youtu.be/WV_Nh884PKg

ルービンシュタインの方が年齢もキャリアも上ですが、社交的なルービンシュタインはホロビッツと親交を結ぼうとして、食事に招待したりしたようです。

ところが、ホロビッツがどうもルービンシュタインに対し「上から目線」で話す事にも困惑しましたが、パリだったかで、ホロビッツから食事に招かれた際、外国にいたのをわざわざホロビッツの為にパリに戻ったにも関わらず、ホロビッツがすっぽかしたりで、ついに堪忍袋の尾が切れ、絶交したとも言われています。

それほど自信満々と言いますか、人を見下していたホロビッツですが、唯一、尊敬したピアニストが、同じく米国に亡命していたセルゲイ・ラフマニノフと共に、アート・テイタムでした。

なんとホロビッツは、テイタムが出演していたクラブに、テイタムを聴くために毎夜通い、或いはラフマニノフや義父である、これも世界一流の指揮者トスカニーニを連れて行った、と言います。

実は、この話については僕は「伝説」つまり作り話だと思っていたのですが、ホロビッツをテイタムに引き合わせたジュリアード音楽院の先生の手記から、これが実話である事が判明。

またテイタムの方では好きなピアニストとしてホロビッツを、好きな作曲家としてラフマニノフをあげていましたから、互いに才能を認め合っていた、という訳でしょう。

参考/米国亡命後のラフマニノフの演奏録音 https://youtu.be/pVAl47hlcxg
プロ/アマ・クラシックピアニストに「ストライドピアノ」がお薦めな訳

ところで肝心のタイトルである「クラシックピアニストの為のジャズ」ですが、クラシック界の巨匠ホロビッツやラフマニノフが認めたから、という訳ではありませんが、クラシック系音大卒のピアニストの方にも、ずっとピアノを習っていたショパンのワルツくらいは弾けるよ、という方には、テイタムはさて置き、「ストライドピアノ」をお薦めましす。

ライブハウスでセッションする「モダンジャズ」ではなく、ソロピアノでも成立するレトロな「スウィング・ジャズ」のピアノスタイルである「ストライドピアノ」。

なぜ「ストライドピアノ」がいいのか、という事と共に、話を戻しまして「なぜホロビッツがテイタムを聴きに通った」のかについても、突っ込んでお話したいと思います。

その事で「クラシックピアニストが目指すジャズ」として僕が「ビンテージ・スウィング」と呼ぶスタイルか最適だとご理解できるかとおもいます。

と言いつつ時間が来ましたので、続きは次回に !

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