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坂本輝「レッッ・プレイ・ジャズピアノ」が独学の始まりでした [レッスン]

前回は「ジャズピアノの基礎」の習得について実感を持って頂く為に、
事例として僕自身の経験を書いている所でした。

考えてみれば「習得」については随分遠回りしましたが、
その事は「ジャズ演奏者」としての僕にはマイナスでしたが、
「ジャズ教育者」としての僕には「財産」となりました。

色々な「ジャズ・メソッド」を体験したのですから。

ところで前回は、僕が「ジャズの基礎であるクラシック」を学ぶ為に、
クラシック系音大作曲科に進学する傍ら「ジャズ独学」を始めた、というお話をしました。

今日はその続き。

坂本輝先生の「レッツ・プレイ・ジャズ」シリーズが師匠?

ジャズピアノの「独学を目指した」と言うか、他にやりようがなかった僕は、
当時「ジャズ理論のバイブル」と言われた渡辺貞夫先生の「Jazz Study」や
藤井貞泰先生の「コンテンポラリー・ジャズピアノ」をヤマハで買い込みました。

「ジャズ理論」や「ジャズピアノ奏法」を独学しようと考えたわけですが、
これらの名著は「ある程度以上のジャズの基礎」がある人が対象だったせいか、
当時の僕には1ページも理解できず、折角購入しても到底使えませんでした。

かと言ってボヤボヤもしてられないので、
「少しくらいは理解できそうな教材」を探した所、
新たに購入するまでもなく、
僕が高校生の時に出版され、僕も即購入した
坂本輝先生の「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズが良いと分かりました。

坂本輝先生は渡辺貞夫先生や藤井貞泰先生よりは一世代若い「ジャズ教育家」で、
坂本先生の「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズは、ある意味、
「日本のジャズ教育」を変えた、とも言える画期的な教材でした。

「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズが画期的だった

「レッツ・プレイ」が画期的だったのは、何よりも、
当時の日本になかった「ジャズ教育」と言う概念を提唱した点です。

「ジャズは感性だ!」「黒人の苦しみがブルースやジャズを産んだ!」
「ジャズは習うものではない慣れろ!」等の妄言が当たり前のように信じらていたのですから。

まことしやかに「外人には歌舞伎は解りませんね。同様に日本人にはジャズはできません。
もしジャズを学びたければNYに住み黒人と生活をせねばなりません」などと吐かす、
「原住民」は少なくなかったし、今でもいるでしょう。

僕は田舎の音大に通う18才の子供だっけれども、
それらのたわ言に付き合う気は更々なく、
「ジャズやクラシックと言った所で、いわば英語やドイツ語の習得同様に、
日本人だろうが理論的に学べる筈」位の事は判りました。

そもそも「Jazz Study」を著べられた渡辺貞夫先生は、
1970年代の日本で実力、人気共にナンバーワンの
ジャズ・ミュージシャン。

1960年代に日本人としては三人目となる「米国バークリー音楽院留学」、
帰国後は「バークリーメソッド」による「ジャズ教育」を推進し、
山下洋輔、菊地雅章、本田竹広、鈴木義雄等の「国際的アーティスト」を輩出。

つまりは一流プロの世界でこそ、「ジャズはクラシック同様に体系的な理論と技術で学べる部分が多い」事だったにも関わらず、底辺にいる「原住民」は「ジャズは理屈じゃないっ! 黒人の悲しみが作り出したんだぁ!」式の「本来の意味」は到底理解できず、上っ面の言葉だけを振り回していた訳です。


坂本輝先生の「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズが「原住民」の妄言について述べられていた訳ではありませんが、「ジャズは勉強しなければできるようにならない」と言う
当たり前のことを、具体的な「練習課題」と共に説かれた訳で、やはり「偉業」でしょう。


実を言えば、今の僕はバリー・ハリス氏のメソッドを根本に持ちますから、
「バークリー・メソッド」や、そこから派生している渡辺貞夫や坂本輝両先生の
メソッドとは別な考え方を持ちます。

しかし渡辺先生が提示し、坂本先生が「初心者向け」に降ろし、発展させられた
「読む」「書く」「弾く」をバランスした「ジャズの学び方」は僕自身の
「ジャズ教育」の岩盤として根を下ろしています。
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次回「ジャズ」と称して「ジャズ」でない「インチキ編曲集」に泣く、につづく

Kimball Piano Salon 音楽教室主宰 藤井一成 電話0705-438- 5371
http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon(2021年2月からの新URL)
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