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「本物のジャズコード」を生まれて初めて弾けた! のが独習の始まりでした [レッスン]

前回は、「ジャズピアノを学びたい」と思ったものの独学するしかなかった、
当時、クラシック系音大生だった僕が選択した坂本輝先生の
「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズの二つの特性についてお話ししました。

つまり「坂本メソッド」には「ジャズは体系的に学ぶべき」という基本的な発想や、
ハノンやチェルニーのような「メカニカル・トレーニング」の課題があり、
それらの課題を進めれば「ジャズピアノ」が弾けるようになる、
という他と異なるモノがあった、というお話をしましした。

今日は「坂本メソッド」の、もう一つの特性である当時としては珍しかった、
「初心者向け」だが「本物のジャズ・サウンド」があった、
という点についてお話ししましょう。

インチキな「ジャズピアノ曲集」に泣いた

僕が「ジャズピアノ」の勉強を始めた1980年代の初頭、
本屋さんで買える「ジャズピアノ曲集」の類は、
「本物のジャズ」ではなく、インチキな「歌謡曲調ポピュラーピアノ」
スタイルのものが殆どでした。

いかにも「ジャズっぽい」表紙に期待して購入し、
帰宅してピアノで鳴らすと、全然「ジャズ」に聴こえない、
という詐欺みたいな「ジャズピアノ曲集」が無数にありました。

話が例によって脱線しますが、当時の同じ楽譜が、
流石に「ジャズピアノ」とは書いてませんでしたが、
「クラシック・スタイルのポピュラーピアノ」と銘打って
今も販売されているようなので笑ってしまいましたが‥。

これも脱線するので詳しくは別な機会に書きますが、
「ジャズピアノ」のハーモニーやフレーズは、
ショパンやバッハと言った「クラシック」から派生しており、
「本物のクラシック・スタイル」ならば「ポピュラーピアノ」だろうが
何だろうが大してものですが、実際には単なる「インチキ・スタイル」の事なのでしょう。

まぁ好意的に称して「歌謡曲調ポピュラーピアノ」という所でしょう。

初めから「ジャズ」サウンドなので感激した「坂本輝著/レッツ・プレイ」

上記の「歌謡曲調
ジャズのコード.jpeg
」に対し、坂本輝先生の「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」全四巻は、
一巻の初めから「本物のジャズ」のサウンドだったので感激しました!

最初の一曲目はスタンダード名曲「枯葉」でしたが、
冒頭は「Cm7 - F7 - B♭Maj7」というコード進行となります。

これが「歌謡曲調ポピュラー」だと、下記楽譜のように「Cm7=ドミソシ♭」
「F7=ファ・ラ・ド・ミ♭」「B♭Maj7=シ♭レファラ」となります。

ジャズのコード.jpeg


ちなみに、これはいわゆる「クラシックの四声体」でちゃんと配置した和声です。

ところで同じコード進行が坂本先生の楽譜だと以下になります。
ご興味がある方はピアノで弾いて下さい。
Jazz 5way .jpeg


いかがですか? 「ジャズっぽい」でしょう?

同じ「Cm7 - F7 - B♭Maj7」でも上記の「クラシック和声(これ自体は正統的ですが)とは、
かなり違ったサウンドになりますね。

尤もこれは今になってみると「ジャズピアノ」の「初歩的なパターン」に過ぎず、
「大したものではない」というか、プロともなれば、
「ありきたり過ぎて使えない」程度のものです。

とは言え、当時の僕からすれば、
ピアノの音がリッチに「クィーン」と伸びる不思議な響きで、
「これこそ、レコードで聴くジャズの音だ!」と興奮しまた!

尤も「これでジャズピアノが弾けた!」なんて事は、
流石に田舎の純朴な音大生だった僕でさえ思わず、
「どうやれば、このような複雑な和音が作れるのか??」と疑問というか、
知識欲がムラムラと起こってきました。

なぜ「Cm7(ドミソシ♭)」に「レ」が入るのか?

「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」の理論コーナーに述べられていましたが、
殆どの理解できませんでした。

尤も坂本先生ご自身、どうやら、別に出版される筈の「理論書」で説明されるおつもりで、
「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズには簡易に説明しかなかったのかも知れません。

結局「理論」は何も分からなかったけれども、
「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」に掲載されていた楽譜を片っ端から弾き、
覚え「我流」でなんとなく「ジャズっぽい」雰囲気のピアノが弾けるように目指しました。


「ジャズ理論」の勉強を始めた

但し、これでは今にしても思えば「なんちゃってジャズピアノ」の「元祖」だった訳で、
学校(音大)に行って、クラシックは専門ながらジャズの事は何にも知らない同級生の女の子達に、
適当にフレーズや和音を弾いて聴かせ、「うわー凄い」とはお世辞を言って貰うのが関の山。

こんなものでは前述の「歌謡曲調ポピュラーピアノ」と
「コードパターン」が違うだけの「インチキ」に過ぎない、とも流石に思いました。

否、「インチキ」でも構わないが、精々、いくつかの「コードパターン」を覚えただけ、
せめて「アドリブの作り方」でも「左手の伴奏パターン」でも覚えれればな、と思いました。

そして、その程度は「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」で習得可能であり、
結局、10代の最後に坂本輝先生の「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」に出会い、
二十代は「レッツ・プレイ〜」の習得に明け暮れます。

それは独学による「ジャズピアノ習得」のスタートとしては、
さほど間違ってはいなかったと思います。

敢えて言えば、今は「坂本メソッド」とは90度位異なる「学習方法」を取ります。

「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズの習得に明け暮れ、
それが達成する事で、二十代半ば頃には、今の感覚では、
僕は「ジャズピアノの中級」位にはなれた、と思います。

当時は、それ位でもバーラウンジでの「ジャズピアノ生演奏」の仕事には不自由しなかったし、
「ジャズピアノ講師」の仕事も得れましたが、正直言って、今度は「上級」の壁がドーンと
立ちはだかっている事が見えてきます。

結局、それを越える為には更に十年位を必要としますが、
結局、二十年もかけて「初級」から「上級」に達した訳ですが、
敢えて言えば、今の僕の教室では三、四年も頑張れば、それ位には誰でもなれるでしょう。

変な話、今の僕程度の先生に、若い頃の僕が出会っていれば、
僕のもう少しマシな人生が送れたかな、とも思います。

そんな空想はさて置き、当時、坂本先生は東京のみならず京都でも教えられていた訳で、
遮二無二に入門していれば、僕も「人生を無駄にせずに済んだかも知れない」なんて、
後悔したりします。

これも今にして思う事ですが、坂本先生が音楽之友社から出版された
「レッツ・プレイ・ジャズピアノ」シリーズ他は、
紙面の関係からは、全てが述べられていた訳でなく、
正直言って、これだけでは完結していないのではないか、と思います。

実際、後年、古本屋で坂本先生が翻訳された「理論書」も見つけたし、
実際に師事された人から聞いた話では、
相当に高度なレッスンがされていた、との事。

だから直接習うべきだったのですが、
当時は今と違い、情報が入らず、そもそも坂本先生にどうやってアクセスすればいいのか、
さえ分からず、結局、遠くで眺めているしかありませんでした。

ちなみに「初期(笑)」の僕が、坂本輝先生から多大な影響を受けた事は確かですが、
現在の僕は、「坂本メソッド」を否定する、というか、
今の僕の「ジャズピアノの方法」は坂本先生とは異なる発想の「メソッド」を持ちます。
(あくまで坂本先生が三十年昔のままでいる、という前提の話ですが)。

「初歩」として「枯葉」を弾くのは良い事だけど、
「ジャズピアノ」のコードやフレーズの「パターン」をメカニカルに練習し、
それをはめ込んで演奏する、という事は僕は否定的です。

そもそも僕自身は感激しましたが、「入門」として、
「ジャズコード」を弾かせる、という事自体、
逆に本当に高度なジャズコードへの理解の妨げになる、と思います。

或いは僕自身は、何年もジャズの音階や分散和音のパターン練習を続け、
指にそういう形を覚えこませ、上記のように二十代半ば過ぎには、
「中級」としては上手にピアノを弾ける、なりました。

今の僕は、その手の練習はやらないし、単に「音階練習」も滅多にしませんし、
お弟子さんにも特には薦めません(それらの音階を正確に理解する事は肝要ですが)

結局、「坂本メソッド」の「メカニカル・トレーニング」に精を出したから、
その後、ジャズピアノが上達したのか、或いは「時間(人生というべきか)」を浪費したのかは、
よく分かりません。

まぁ、良い部分も沢山あったろうし、また「坂本メソッド」とは全く無関係な形での、
僕なりの「ジャズピアノ習得法」もあり、二十歳の頃にはバンドなぞを結成し、
「ライブ活動(爆笑)」を始めた次第。

次回は「坂本メソッド」の「メカニカル・トレーニング」の内容や、
僕なりの「即興演奏」習得を目指した二十歳の頃の「勉強」について
お話しましょう。

つづく

大阪梅田芸術劇場北向かい Kimball Piano Salon 主宰 藤井一成
「ジャズピアノ/ボーカル/弾き語り」生徒募集中。

無料体験レッスンのお問い合わせは下記よりメールか
電話 0705-438-5371 まで(藤井直通)

http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon(2021年2月からの新URLです)

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