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音楽教室に米国製グランドピアノを設置した理由 [ピアノ]

僕が大阪梅田で主宰している「キンボール・ピアノ・サロン」には
米国製Kimball のグランドピアノが設置されています。

Kimballは歴史こそスタインウェイより古い、
19世紀半ばにシカゴで創立されたブランドですが、
日本のヤマハやカワイに相当する家庭用のありふれたピアノです。

僕達がヤマハでもなく、スタインウェイでもなく、
Kimballのグランドピアノを練習室用に、
アップライトをリビングルーム用に設置した理由は、
「たまたま入手できた」という事情が大ですが、
「米国ピアノが好きだから日本で普及させたい」
という気持ちも小さくありません。

という訳で「米国ピアノ」の魅力は何か? ヨーロッパ製や国産と比べて良いのか悪いのか?
等の「ピアノの話」を今日は書きましょう。

米国製ピアノはジャズ向け?

僕は商売柄(?)色々なピアノに触れ、所有したり、
手放したりしますが、今、所有しているのは、
グランド、アップライト共に米国製ばかり、
と気づきました。

「米国ピアノ」ブランドに関しての私感を述べれば、
ニューヨーク・スタインウェイのセミコンサート・グランドは 「個人で所有できるピアノ」としては最高の一つでしょう。

KimballやBaldwinのアップライトや小型グランドは、 家庭のリビングやカフェ用として「弾いて最も楽しいピアノ」の一つでしょう。

1920年代にブランドが消滅しましたが、
クナーベやチッカリングの中型グランドピアノは、 ティファニーのアクセサリーのような美しい外装と 「恍惚的な音色」を有する逸品と言えるでしょう。

「米国ピアノの話」で想い出すのが、以前頂いたご質問。

「ジャズ向けのピアノってありますか?」 「ジャズには米国製ピアノが合いますか?」

加えて「米国製ピアノはクラシックには合いませんか? 」
なんて質問もありました。

結論を言えば、最も庶民的なKimballから、
最高級のNYスタインウェイまで、
「米国ピアノ」は「ジャズ」にも合いますが、
「クラシック」にも合います。

そもそも「クラシック」を弾くために、
「米国製」に限らず、ピアノは生まれた訳ですし。

「国産ピアノは音が甲高いから嫌だ」

僕自身、若い頃は、「米国製ピアノではクラシックは弾けないのではないか?」
との誤解がありました。

とは言うもの僕が学生時分〜二十代にかけて、実際に弾く機会を持てたのは、
学校やライブハウス等ののヤマハやカワイ、自宅の「ディアパソン」位のもので、
米国やヨーロッパのピアノを弾く機会は殆どありませでした。

尤も自宅にあった親に買って貰った「ディアパソン183E」という
グランドピアノに僕は充分満足していましたが…。

或いは同じ時代のスタンダードとも言えたヤマハのグランドピアノでG3やC3は
今の時代に流通する「中古」としては「最もお勧めな一台」でしょう。

にも関わらず「他のピアノ」が欲しくなったのは、
お世話になったピアノ技術者の工房で、
同じ「ディアパソン」の昭和30年代に作られた古いグランドピアノを
弾かせて貰ったから。

あまりの「音色の良さ」に驚愕。

或いは実家用に購入したヤマハの戦前のアップライトピアノも
同じ位に深く、柔らかく、美しい音色も感動もの。

蛇足ながら今時の「中古ピアノ市場」では、
グランドでは当時のヤマハG3やディアパソン183E、
アップライトではU3やW109、ディアパソン132が
「お薦めの一台」として出回ります。

僕も友人がその一台を購入した、と言えば
「良い買い物したな」と誉めてやるでしょう。

但し、今となっては一般にはお勧めしませんが、
戦前から昭和30年代位のヤマハや昭和30〜40年代頃のディアパソンには、
世界的に観ても最高の響板である「北海道エゾ松」や良い部材が用いられ、
「本物のピアノ」の条件である「木の音色」がします。

それらと並べて弾くと183EやG3は
「プラスチッキーの音」としか言いようがなく
耳を覆いたくなります。

ドイツの「グロトリアン」に驚嘆した

ところで今僕が愛用するのは偶々「米国製ピアノ」ばかりですが、
ヨーロッパのピアノも好き、と言いますか、最初に感動したのは
ドイツの「グロトリアン・スタインヴィッヒ」と言うブランドのピアノでした。

若い頃の僕は代理店さんの好意で(というか図々しく乗り込んで)、
「グロトリアン」を弾かせて貰い、国産からすれば「別世界の音色」に
「本物のピアノ」とはこう言う音色を指すのだ、と心を奪われました。

「グロトリアン」と「スタインウェイ」はいわば「親戚」で、
19世紀にスタイインウェイ(スタインヴィッヒ)一家が米国に移民する際、
ドイツに残留した長男が磨き上げたブランドで「クララ・シューマンが愛用した」とか。

世界中のコンサート・ホールの「定番」はスタインウェイですが、
アップライトでは「グロトリアン」が世界一と言われていました。

実際に弾くと、小さな、情けないような簡素なボディのアップライトながら、
国産ではグランドピアノでも聴けない、甘く、深く、柔らかく、しかし芯が力強い音が、
栓を抜いたシャンパンの如くフワッーと盛り上がって来たので腰を抜かしました。

問題は価格で、当時国産の小型グランドピアノが70万円位だったのに対し、
グロトリアンのアップライトは150万円と倍の価格。
(今はそれぞれ二、三倍しますが…)

大卒の初任給が10万以下だった当時、とてもではないが、
手が出せない高嶺の花でした。

(次回「米国ピアノの魅力1 」ホンキートンクへ)

リンクは「グロトリアンを愛用したドイツの戦前の巨匠ワルター・ギーゼキングによる
「モーツァルト・ピアノ・ソナタ」集)

Kimball Piano Salon 大阪梅田芸術劇場北向かい(音楽教室&レンタル練習室)
http://www.eonet.ne.jp/~pianosalon(2021年2月からの新URL)


モーツァルト:ピアノソナタ第14番~第17番、他

モーツァルト:ピアノソナタ第14番~第17番、他

  • アーティスト: ギーゼキング(ワルター),モーツァルト
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2008/12/26
  • メディア: CD



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