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日本のニューエイジミュージックの三人 [Shizen]

Shizenが扱う「ヒーリング・ミュージック」について

僕達の新しいプロジェクと「Shizen 」では「ヒーリング・ミュージック」を扱います。

尤も僕自身は「ヒーリング・ミュージック(癒しの音楽)」という言い方に違和感があるんです。

下手な「ヒーリング・ミュージック」を聴かされると癒されるどころかイライラさせらるし,
そう言えばある友人が「いやしの音楽をしたい」と言うから「えっ,いやしい音楽?」「違う! いやし」「えっ,いやらしい」とからかってしまう程に「癒しの音楽」には懐疑的です。

僕としては,むしろ「癒し」とは呼ばれていない1970年代のマイルス・デイビスの
「ファンク・ジャズ」や山下洋輔トリオのフリー・ジャズを聴いて「癒される」時もあります。

つまり「自分の好きな音楽を聴く時」が最も「癒される」とさえ言えますが,
これでは話しが進みませんね。

考えてみれば「癒し」というのは曖昧な言葉かも知れません。

「わたし癒し系と言われるんです」と女性がおられ,「肩でも揉んでくれるの?」とからかいたくなりますが,むしろ硫黄等で壮絶な戦死をなされた栗林中将の存在こそが,今日の日本人に感動を与え,つまりは「癒し系」と思えます。

…なんだが「ヒーリング・ミュージック」に対する恨みでもあるのか,と勘ぐられるかもしれませんが,率直に言って偶々聴かされた「ヒーリング・ミュージック」の大半がどうにもお粗末だった,というトラウマもなきにしあらずです。

勿論,良い音楽もありましたし,或は本当は良いものだけど,僕には理解できない音楽とありましょう。僕は基本的にジャズ系演奏者だから「修練を積んだ演奏演奏」「緻密な作編曲又は高度な即興」等の条項を満たさないと退屈に感じます。

そのせいか何時だったの「ヒーリング・コンサート」で「宇宙の何とか〜瞑想」と称し,ロクにピアノを弾けなさそうなオジさんが,ポーンポーンと鍵盤を叩くのやら,沢山並べられた「トイ楽器(オモチャ)」は良いとして,飽きもせずキンコンカンコンと鳴らすだけのは,どうにも退屈というか素人が愉しみでやるなら可愛げがありますが,演奏の前後に何やら勿体ぶったお説を聴かされるのには閉口してしまいました。

或は音響エンジニアリングとしてはプロだけど,サンプリングされた音響を組合わせただけの「音楽」は退屈,ちゃんとした音楽とは思うけれどもシンセサイザーの「喜太郎」やらオカリナの「宗次郎」等は聴いてるとイライラして来ます。

という訳で「ヒーリング・ミュージック」を論ずるには全く不適格な僕ですが,
プロデューサーとして「Shizen」独自の観点で選択した「ヒーリング・ミュージック」について
ご紹介していきましょう。まずは日本のニューエイジミュージックを代表する三人から。

*****************************
1980年代の日本のニューエイジ・ミュージック/村松健,中村由利子,溝口肇

前回書きましたが,日本で「ヒーリング」と呼ばれる音楽は米国では「New Age」と呼ばれます。
尤も「ヒーリング」全般の中の一スタイルとして「New Age」があるという図式ですが,
実際には米国人でさえ両者の違いは説明できません。

そもそも明確な定義付けがある訳ではありませんが,取り敢えず「Shizen」で取上げるのは,次の条項の満たしたものとしましょう。

New Age Musicの条項;

・ジャズ和声構造を持つ
・クラシックやポップス的なメロディ
・カフェのBGMとして使える

ところでNew Age musicはピアニストのジョージ・ウィンストンやギタリストのウィリアム・アッカーマン等米国「ウィンダムヒル・レーベル」のヒットで1980年代の大流行となりましたが,ここでは敢て同時代の日本人New Age musicアーティストを最初にご紹介しましょう。

この三人は当時CBSソニー(現ソニー)と契約した,つまり日本を代表するレーベルであるソニーが,人気と実力の点でトップに据えた方々であり,実際,相当に「売れていた」と言えます。

溝口肇(チェロ他);
まずチエロの溝口肇さんは,現在も第一級の人気を誇り,チェリストとしての腕前もさることながら,作編曲家としても活躍,自分で全てのパートを打込みし,ジャズ,ロック,クラシック,ラテン等なんでもこなし,独自の音楽を展開。

「キリンと月」http://youtu.be/xXD02_ydBPE

中村由利子(ピアノ);
何を隠そう1980年代には僕もファンで結構熱心に聴き込みました。
実際,CBSソニー時代の録音は結構質が高いのですが,この人,
ジャズピアニストのキャリアがあるのかないのかは知りませんが,当時,
何かの雑誌でジャズ編曲した楽譜を見ましたが,実にちゃんとした編曲だった,
という記憶があります。

「風の鏡」http://youtu.be/qZxviqWmoL0

尤も僕個人の感想としては'90年代以後はレコード会社が変わり,
録音や編曲のの雰囲気にかっての際立った感が薄れ,僕はあまり聴かなくなりました。
且,今聴き直すと,CBSソニー時代にしても,やたらとリバーブ(残響)過多の録音が,
タッチを見えなくし,ピアノを聴くという観点でマイナスです。


村松健(ピアノ);

何を隠そう,1990年代に僕も大ファンで,下手すると毎日一回は村松さんのCDを聴いていました。尤もある時期から聴かなくなり,この文章を書く為に,手元にCDがなかったので,
ご本人のサイトで試聴しましたが「村松節」というか「村松クオリティ」は健在。

この人はもの凄いマニアックで,確かベーゼンドルファーやビンテージのスタインウェイを所有され,CBSソニーとの契約終了後は,自宅スタジオでの録音に踏み切ったらしいのですが,
凄く鮮明な「タッチの見える録音」を実現。

CBS時代のもなかなか良いのだけで,こちらは長い残響を伴うものが次第に増えていったに対し,自宅録音のは殆ど残響なしで「眼前の演奏」が見える。

よく「日本のホールは残響がないから駄目だ」という劣等感の裏返しで,
「音楽専用ホール」と称し,やたら残響の長いホールが連立された時期がありましたが,
少なくともピアノを聴くには,どうかな,と思います。

ところで村松さんのピアノですが,これほど自在に響きを創れる人はいない,と言える程に,
素晴らしいタッチを持たれます。又,音楽的にはジャズやクラシックの作曲や和声を完璧に収めつつ,最終的に「日本の詩」を奏でる。

今日は久しぶりに村松さんの,最新の音源を聴きましたが,やっぱりいいな,と思いました。
昔のスタイルの侭で深化されており,又,奄美大島にお住みとの事ですが,
音楽がいい意味で日本化しており,聴いていた「癒される」感じ。

考えてみれば,いつのまにか村松さんの音楽を聴かなくなった僕は,
グーンとジャズ傾向が強まり,今更,このような音楽はできませんが,
村松さんの音楽をフォーローする人がもっと増えればいいな,とも思いました。

リンク:村松健

 
Japanese Piano

Japanese Piano

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Keen Moon
  • 発売日: 2012/01/18
  • メディア: CD



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