カフェピアニストが考える「子供のジャズピアノ」教室/大阪梅田にて [レッスン]
皆さん,こんにちわ。「子供の音楽教育」について相談を頂いた事から,僕自身は子供レッスンの経験は殆どありませんが,専門家の意見や僕自身の音楽観を基に僕なりの「教育法」を書いている所です。
「子供にもジャズピアノ・レッスン受講は可能か?」というご質問から発した訳で,「はい,できますよ。これこれの教材でやります」とお答えすれば済む話なのですが,どうも「何の為に子供がジャズを習うのか?」更には「そもそも子供に音楽を習わす意義は何か?」と根本的に遡り考え直さねば,どうも落ち着かなくなった次第です。
「将来,ジャズピアニストにさせたいので,修行させて下さい」と子供を連れて来るご両親は何万に一人もいないでしょう。尤も僕の大阪梅田にある教室は場所柄「大人向け」レッスンプログラムしかありませんでしたが,最近,知人や生徒さんから「うちの子供も教えてくれる?」とのオファーを頂く事が増え,ずっと知人であるピアノ講師に丸投げしてしましたが,KPS(チャールストン倶楽部音楽教室)として僕自身が教えるせよ,子供レッスンの専門講師が担当するにせよ,本格的に「子供の音楽教育」を形成しようと考え始めました。
住宅街ならばご近所に沢山の音楽教室があるにも関わらず,敢えて電車で梅田迄通わし,割高な月謝(大人とほぼ同額)をお支払い頂くとすれば,何らかの特別な価値を認めて頂く時でしょう。
幸い僕の教室は子供は一人も来なくても構わない訳で,どうしても子供の生徒を集めねばならない,という事はない以上,この際,「子供の音楽教育」の理想を目指そうと思います。
(どこの教室も「理想」を目指されておられるのでしょうけれど…)
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そもそも何の為に音楽教室に通わすのか?
梅田にある僕の教室(Kimball Piano Salon)は大人が対象で子供は想定外でしたが,仮に僕が「子供の教室として営業展開しよう!」という商魂を抱いた場合,ご自宅近所の教室ではなく,お母さんがわざわざ電車で送り迎えして頂くには,何か特別な教育プログラムをブチ上げねばならないでしょう。
子供の為の「特別なプログラム」を持ついわば差別性の高い音楽教室とは何か?
昔は簡単でした。僕が子供時分は「音大を目指す子供}がワンサカおり,教授やそれに連なるお弟子さんの教室の元には「専門技能」を叩き込むべく遠くから子供の生徒が集まりました。
今時は音大人気も下火ですが,僕自身が一応プロのジャズピアノ弾きである利点を活かし,どこぞのレコード会社とでも提携し「子供をジャズピアニストに育てる」=芸能スクール風の学校でも仕立てる,という「経営手法」も考えられます。
一流ジャズピアニストといえど,ジャズを勉強始めたのは成人以後が多い訳で,ならば子供時分から鍛えれば確実にジャズピアニストになれるのでないか,と考えても不思議はないですからね。
実際,ジャズピアニストの小曽根真さんやポップス歌手の宇多田ヒカルさん達は,プロのピアニストや歌手のご両親から幼少時分から教育された天才的アーティストとして天下を取られています。
勿論,才能や運,縁という不確定要素も必要ですが,それでも子供時分からスパルタ式で教育すれば,悪くても音楽講師やレストランのピアノ弾き位には成れそうです。
そういえば,ベートーヴェンの父親や,プロレスラーのアニマル浜口氏,或は卑近な例では僕の知合いのウドン屋さんが,自分の子供を幼少時から問答無用で店で修行させ職人として一流に育てあげました。ならば「将来のジャズピアニストや歌手」を育成すべく,昔,ヤマハ音楽教室がエレクトーンで成し得たような「英才教育」を施せば,小学高学年時にはバリバリ弾きまくれる「モンスター・チャイルド」が養成できそうです。
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尤も,僕はどうもそういう方向には気が進まないんですね
僕自身が「英才教育」とは無縁だったとか,ジャズピアニストなぞ職業として全くお薦めできない,という根本事象はさておき,仮に「ジャズピアノを弾きまくれる」ような子供を育成したとて,成人後,その子供が有名音楽家は才能や運として,最低ラインにある僕みたいな音楽講師やカフェピアニスト程度すら成れない恐れも大だからです。
なるほど世界的ジャズピアニストであられる小曽根真さんは,父上も関西では有名なピアニスト/オルガニスト兼ジャズ教育家であられ,父上のご教導により真さんは小学五年生位にしてオスカー・ピーターソンをコピーして弾きまくれる「天才少年」に育ったとての事です。
かと言って真さんの半分かその半分程度にでも弾きまくれた子供の全てが,小曽根真さんの半分位(それでも相当な腕)のジャズピアニストになれる保障はありません。
これは運とか縁,或は持って産まれた「才能」の違いもありましょうが,むしろ資質や「才能」をどう伸ばせたか?が問題ですが,かと言って単にスパルタ式で技能を習得させれば「才能」が伸びる,とは限らないようです。
最悪のケースとして,小学生時分には弾きまくれる「モンスター・チャイルド」だったのに,成人後は表面的な技能こそ立派ながら,音楽としては安っぽく,結局,何者にもなれない侭に終る人も少なくありません。
考えようによっては小曽根真さんや宇多田ヒカルさん或はアニマル浜口氏の娘さん等は「モンスター・チャイルド」育成プログラムを受けつつも,それを上回る才能や或は才能を伸ばす素晴らしい教育を師であるご両親から受けられた,とも言えます。
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Kimball Piano Salon (チャールストン倶楽部音楽教室)として「子供の音楽教育」を始めるならば,「特別な教育プログラム」を打出せないと,わざわざ電車に乗って通ってくれない事は確かです。
では「特別〜」が「将来のジャズピアニスト/歌手を養成する」ならば良いのか?といえば,そもそもジャズピアニスト自体が「子供に目指して欲しい職業」では全くなく,応募される方は皆無でしょう。
仮に何かの拍子にジャズピアニストを子供に目指して欲しい,というご両親が得全変異的な大量出現するとして,スパルタ式もしくは「効率的プログラム」にて「技能習得」させ,小学生にしてバリバリにジャズピアノを弾きまくれる「天才少年(少女)」を育成できるとして,それが素晴らしい事ては,僕はどうも思えません。
勿論,現実的には大人の生徒さんがそうであるように「プロを目指す方」はごく一部であり,大部分は「趣味で習う」子供しか集まらないでしょう。
では「趣味で習う子供」には何を教えれば良いのでしょうか?且つそれが「わざわざ梅田迄通って得れる特別なプログラム」になり得るのでしょうか?
そもそも子供や大人の如何を問わず「プロを目指す」のと「趣味で習う」のとではプログラムが全く異なるのでしょうか?
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確かに「初心者」と「上級(講師/プレーヤー養成課程)」とでは習得する「技能」に差異があり,或は,同じ課題をするにせよ「趣味」と「プロ志向」とでは教える側としても要求するレベルが違ってきます。
かと言って敢えていえば,僕の場合,教える対象が初心者だろうが上級だろうが,子供だろうが大人だろうが,教えている内容にさして違いはない,と言えます。
確かに「技能」習得のレベルは変えますが,それとは別に「音楽の心」について育成する必要があり,こちらについては初歩だろうが「趣味で習う」のだろうが関係なしに修得して頂きたいと考えています。
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では「音楽の心」とは何か?
仮に「プロを目指す子供」が存在した場合,「技能」のみを叩き込むと,なるほど「バリバリ弾きまくる小学生」に育てれますが,かと言って特殊な才能の持ち主は以外は,成人すれば「ただの人」として大して活動できないでしょう。
何故か?
ブロとしてやって行くならば確たる「技能」が必要ですが,同時に「音楽の心」を持ち合わせないと,
演奏したも観客が「感動」しません。小学生がバリバリと弾きまくれればコンテストの観客から「おぉ凄い!」と「感心」されますが,大人の演奏家がライブで弾けても当り前,観客として聴いてて「いぃなぁ」と感じねば評価しません(お金を払って聴きにきません)。
音楽を「趣味でやる」人には,「プロ」に要求される「技能」は必修ではなく,しかし「音楽の心」がなければ,そもそも演奏してて「楽しい」筈がなく,或は人の演奏を楽しむ能力にも優れません。
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では「音楽の心」とは何か?
これは「音楽が分かる」能力だと言えます。この能力は天然にあるものではなく,やはり教育や訓練によって伸ばせ,且,何も職業音楽家を目指さなくても伸ばす事で人生を有意義にするものだ,という事です。
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では「音楽が分かる」とはどういう事か?
これは簡単に言えば「音楽が好き」という事になりましょう。
「えっ特別な教育プログラムって,音楽が好きな子供を育成する事なの?」と驚かれるかも知れません。一部の「音大受験塾」的な専門教室を別として殆どの「子供の教室」が「音楽の好きな子供の育成」をスローガンに上げています。
考えようによっては橋本元大阪府知事が提唱された「学力テスト重視」が音楽でいえば「音大受験やコンクール対応専門レッスン」であり,「趣味で音楽を習う」子供や大人向けが「ゆとり教育」とも言えます。
・プロ志向(学力テスト的)=技能習得中心の「巧みに演奏する子供」を作るプログラム
・趣味で楽しむ(ゆとり教育的)=音楽を好きな子供を作るプログラム
という図式が一般的ともいえましょう。
僕はそうではなく,趣味にしろプロ志望にしろ,教育の本質は「音楽を好きにする(分るようになる)」事に尽き,むしろプロ志望の子供や大人程,「音楽を好き」になる必要が高いと言えます。
では「音楽が好き(分る)」とはどういう常態か?
子供はともかく大人の生徒さんの場合,月謝と時間を費やして習いに来られる訳ですから,「音楽が好き」なのは当然であり,或は音楽講師なりを職業とされる方は色々な苦労を経てられる筈ですから,より「音楽が好き」とも言える筈です。
本当にそうなのでしょうか?
「うちの娘は楽しくレッスンに通ってるぞ」とか「高い経費を払って音大迄言ったのだから音楽が好きに決まってるじゃないか!」とか反発されるかも知れません。
しかし,よくよく観察すると実は好きなのは音楽そのものではなく,音楽を通して得られる人とのコミュニケーションだったり,演奏のスポーツ的快感だったり,達成感だったり,報酬だったりする事の場合が少なくありません。
本当に音楽が好きになる為には,音楽自体を分る必要があり,この分る,というのは,何かを覚えれば済む,という訳でもなく非常に厄介な事なのです。
つまり「音楽を好きな子供に育てたい」とお母さんも音楽教室も言われますが,これは安易な課題ではなく,ましてや「ゆとり教育」式にルーズに習えば「好き」をキープできる,というものでは全くありません。
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という訳で次回は「音楽を好きな子供」とはどんな子供(或は大人)か?という事を考えてみましょう。
つづく
リンクは子供とお母さんに聴かせたいCD;グリーンスリーブス/平原綾香(歌)他
「子供にもジャズピアノ・レッスン受講は可能か?」というご質問から発した訳で,「はい,できますよ。これこれの教材でやります」とお答えすれば済む話なのですが,どうも「何の為に子供がジャズを習うのか?」更には「そもそも子供に音楽を習わす意義は何か?」と根本的に遡り考え直さねば,どうも落ち着かなくなった次第です。
「将来,ジャズピアニストにさせたいので,修行させて下さい」と子供を連れて来るご両親は何万に一人もいないでしょう。尤も僕の大阪梅田にある教室は場所柄「大人向け」レッスンプログラムしかありませんでしたが,最近,知人や生徒さんから「うちの子供も教えてくれる?」とのオファーを頂く事が増え,ずっと知人であるピアノ講師に丸投げしてしましたが,KPS(チャールストン倶楽部音楽教室)として僕自身が教えるせよ,子供レッスンの専門講師が担当するにせよ,本格的に「子供の音楽教育」を形成しようと考え始めました。
住宅街ならばご近所に沢山の音楽教室があるにも関わらず,敢えて電車で梅田迄通わし,割高な月謝(大人とほぼ同額)をお支払い頂くとすれば,何らかの特別な価値を認めて頂く時でしょう。
幸い僕の教室は子供は一人も来なくても構わない訳で,どうしても子供の生徒を集めねばならない,という事はない以上,この際,「子供の音楽教育」の理想を目指そうと思います。
(どこの教室も「理想」を目指されておられるのでしょうけれど…)
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そもそも何の為に音楽教室に通わすのか?
梅田にある僕の教室(Kimball Piano Salon)は大人が対象で子供は想定外でしたが,仮に僕が「子供の教室として営業展開しよう!」という商魂を抱いた場合,ご自宅近所の教室ではなく,お母さんがわざわざ電車で送り迎えして頂くには,何か特別な教育プログラムをブチ上げねばならないでしょう。
子供の為の「特別なプログラム」を持ついわば差別性の高い音楽教室とは何か?
昔は簡単でした。僕が子供時分は「音大を目指す子供}がワンサカおり,教授やそれに連なるお弟子さんの教室の元には「専門技能」を叩き込むべく遠くから子供の生徒が集まりました。
今時は音大人気も下火ですが,僕自身が一応プロのジャズピアノ弾きである利点を活かし,どこぞのレコード会社とでも提携し「子供をジャズピアニストに育てる」=芸能スクール風の学校でも仕立てる,という「経営手法」も考えられます。
一流ジャズピアニストといえど,ジャズを勉強始めたのは成人以後が多い訳で,ならば子供時分から鍛えれば確実にジャズピアニストになれるのでないか,と考えても不思議はないですからね。
実際,ジャズピアニストの小曽根真さんやポップス歌手の宇多田ヒカルさん達は,プロのピアニストや歌手のご両親から幼少時分から教育された天才的アーティストとして天下を取られています。
勿論,才能や運,縁という不確定要素も必要ですが,それでも子供時分からスパルタ式で教育すれば,悪くても音楽講師やレストランのピアノ弾き位には成れそうです。
そういえば,ベートーヴェンの父親や,プロレスラーのアニマル浜口氏,或は卑近な例では僕の知合いのウドン屋さんが,自分の子供を幼少時から問答無用で店で修行させ職人として一流に育てあげました。ならば「将来のジャズピアニストや歌手」を育成すべく,昔,ヤマハ音楽教室がエレクトーンで成し得たような「英才教育」を施せば,小学高学年時にはバリバリ弾きまくれる「モンスター・チャイルド」が養成できそうです。
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尤も,僕はどうもそういう方向には気が進まないんですね
僕自身が「英才教育」とは無縁だったとか,ジャズピアニストなぞ職業として全くお薦めできない,という根本事象はさておき,仮に「ジャズピアノを弾きまくれる」ような子供を育成したとて,成人後,その子供が有名音楽家は才能や運として,最低ラインにある僕みたいな音楽講師やカフェピアニスト程度すら成れない恐れも大だからです。
なるほど世界的ジャズピアニストであられる小曽根真さんは,父上も関西では有名なピアニスト/オルガニスト兼ジャズ教育家であられ,父上のご教導により真さんは小学五年生位にしてオスカー・ピーターソンをコピーして弾きまくれる「天才少年」に育ったとての事です。
かと言って真さんの半分かその半分程度にでも弾きまくれた子供の全てが,小曽根真さんの半分位(それでも相当な腕)のジャズピアニストになれる保障はありません。
これは運とか縁,或は持って産まれた「才能」の違いもありましょうが,むしろ資質や「才能」をどう伸ばせたか?が問題ですが,かと言って単にスパルタ式で技能を習得させれば「才能」が伸びる,とは限らないようです。
最悪のケースとして,小学生時分には弾きまくれる「モンスター・チャイルド」だったのに,成人後は表面的な技能こそ立派ながら,音楽としては安っぽく,結局,何者にもなれない侭に終る人も少なくありません。
考えようによっては小曽根真さんや宇多田ヒカルさん或はアニマル浜口氏の娘さん等は「モンスター・チャイルド」育成プログラムを受けつつも,それを上回る才能や或は才能を伸ばす素晴らしい教育を師であるご両親から受けられた,とも言えます。
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Kimball Piano Salon (チャールストン倶楽部音楽教室)として「子供の音楽教育」を始めるならば,「特別な教育プログラム」を打出せないと,わざわざ電車に乗って通ってくれない事は確かです。
では「特別〜」が「将来のジャズピアニスト/歌手を養成する」ならば良いのか?といえば,そもそもジャズピアニスト自体が「子供に目指して欲しい職業」では全くなく,応募される方は皆無でしょう。
仮に何かの拍子にジャズピアニストを子供に目指して欲しい,というご両親が得全変異的な大量出現するとして,スパルタ式もしくは「効率的プログラム」にて「技能習得」させ,小学生にしてバリバリにジャズピアノを弾きまくれる「天才少年(少女)」を育成できるとして,それが素晴らしい事ては,僕はどうも思えません。
勿論,現実的には大人の生徒さんがそうであるように「プロを目指す方」はごく一部であり,大部分は「趣味で習う」子供しか集まらないでしょう。
では「趣味で習う子供」には何を教えれば良いのでしょうか?且つそれが「わざわざ梅田迄通って得れる特別なプログラム」になり得るのでしょうか?
そもそも子供や大人の如何を問わず「プロを目指す」のと「趣味で習う」のとではプログラムが全く異なるのでしょうか?
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確かに「初心者」と「上級(講師/プレーヤー養成課程)」とでは習得する「技能」に差異があり,或は,同じ課題をするにせよ「趣味」と「プロ志向」とでは教える側としても要求するレベルが違ってきます。
かと言って敢えていえば,僕の場合,教える対象が初心者だろうが上級だろうが,子供だろうが大人だろうが,教えている内容にさして違いはない,と言えます。
確かに「技能」習得のレベルは変えますが,それとは別に「音楽の心」について育成する必要があり,こちらについては初歩だろうが「趣味で習う」のだろうが関係なしに修得して頂きたいと考えています。
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では「音楽の心」とは何か?
仮に「プロを目指す子供」が存在した場合,「技能」のみを叩き込むと,なるほど「バリバリ弾きまくる小学生」に育てれますが,かと言って特殊な才能の持ち主は以外は,成人すれば「ただの人」として大して活動できないでしょう。
何故か?
ブロとしてやって行くならば確たる「技能」が必要ですが,同時に「音楽の心」を持ち合わせないと,
演奏したも観客が「感動」しません。小学生がバリバリと弾きまくれればコンテストの観客から「おぉ凄い!」と「感心」されますが,大人の演奏家がライブで弾けても当り前,観客として聴いてて「いぃなぁ」と感じねば評価しません(お金を払って聴きにきません)。
音楽を「趣味でやる」人には,「プロ」に要求される「技能」は必修ではなく,しかし「音楽の心」がなければ,そもそも演奏してて「楽しい」筈がなく,或は人の演奏を楽しむ能力にも優れません。
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では「音楽の心」とは何か?
これは「音楽が分かる」能力だと言えます。この能力は天然にあるものではなく,やはり教育や訓練によって伸ばせ,且,何も職業音楽家を目指さなくても伸ばす事で人生を有意義にするものだ,という事です。
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では「音楽が分かる」とはどういう事か?
これは簡単に言えば「音楽が好き」という事になりましょう。
「えっ特別な教育プログラムって,音楽が好きな子供を育成する事なの?」と驚かれるかも知れません。一部の「音大受験塾」的な専門教室を別として殆どの「子供の教室」が「音楽の好きな子供の育成」をスローガンに上げています。
考えようによっては橋本元大阪府知事が提唱された「学力テスト重視」が音楽でいえば「音大受験やコンクール対応専門レッスン」であり,「趣味で音楽を習う」子供や大人向けが「ゆとり教育」とも言えます。
・プロ志向(学力テスト的)=技能習得中心の「巧みに演奏する子供」を作るプログラム
・趣味で楽しむ(ゆとり教育的)=音楽を好きな子供を作るプログラム
という図式が一般的ともいえましょう。
僕はそうではなく,趣味にしろプロ志望にしろ,教育の本質は「音楽を好きにする(分るようになる)」事に尽き,むしろプロ志望の子供や大人程,「音楽を好き」になる必要が高いと言えます。
では「音楽が好き(分る)」とはどういう常態か?
子供はともかく大人の生徒さんの場合,月謝と時間を費やして習いに来られる訳ですから,「音楽が好き」なのは当然であり,或は音楽講師なりを職業とされる方は色々な苦労を経てられる筈ですから,より「音楽が好き」とも言える筈です。
本当にそうなのでしょうか?
「うちの娘は楽しくレッスンに通ってるぞ」とか「高い経費を払って音大迄言ったのだから音楽が好きに決まってるじゃないか!」とか反発されるかも知れません。
しかし,よくよく観察すると実は好きなのは音楽そのものではなく,音楽を通して得られる人とのコミュニケーションだったり,演奏のスポーツ的快感だったり,達成感だったり,報酬だったりする事の場合が少なくありません。
本当に音楽が好きになる為には,音楽自体を分る必要があり,この分る,というのは,何かを覚えれば済む,という訳でもなく非常に厄介な事なのです。
つまり「音楽を好きな子供に育てたい」とお母さんも音楽教室も言われますが,これは安易な課題ではなく,ましてや「ゆとり教育」式にルーズに習えば「好き」をキープできる,というものでは全くありません。
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という訳で次回は「音楽を好きな子供」とはどんな子供(或は大人)か?という事を考えてみましょう。
つづく
リンクは子供とお母さんに聴かせたいCD;グリーンスリーブス/平原綾香(歌)他
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