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音楽検定は「学力テスト」同様に無意味だ! という説に対する反対意見2 [レッスン]

前回は「生徒さんの目標」としての「グレード取得」は適当かどうかについて,書きました。

「音楽検定」の対象内容の殆どは「音楽修得に必要な事項」ではなく,
単に「テストし易い」から実施された実効性の低い内容であり,
「ちゃんと学ばねばならない部分」の学習が疎かになるので駄目だ,と僕は考えています。

「目標」を定め,邁進する事は何に限らず良い事ですが,
「目標」自体がズレていると「目的」は達成できません。

音楽を学ぶ「目的」は「趣味として情操を養う」とか「職業音楽に必要なスキル修得」でしょう。

ところで「音楽検定」は「学力テスト」同様に無意味だ!という僕の主張に対する反論というか,
「相談」をメールで頂いていましたので,その一部を公開させて貰いましょう。


反対意見2; 「音楽検定によって客観的に自分が音楽講師の職能を有する事」が証明される。

「音楽が好きで長年ピアノを習っていましたが,先生から講師グレード取得を勧められ,
別に音楽講師職には興味がなかったものの,会社勤めの気晴らしとして講師資格取得。
寿退職,育児を経て,漸く子供の手も離れたもののパートもないので,近所の子供を集めての,
音楽教室を自宅で開設したいと考えています。

その際,私のように音大を出た訳でもない講師の場合,音楽検定による講師資格が唯一の客観的な講師の資格となりますので,音楽検定は無用というお考えには賛成できません。

ところで相談をお願いしたいのですが,講師資格を利用して自宅にて教室開業したいと習っている先生に相談すると,楽器店から教室開業にはエレクトーンが必要で,エレクトーンの講師資格も取得して欲しい,といわれました。私はエレクトーンは好きでなく,ピアノのみで講師をやりたいのですが,
ピアノだけでやっていける資格はあるでしょうか?」

*******************
なんだか凄い質問ですね。

基本的に「音楽講師の資格」なぞ不要で勝手に自称してしまえばOKです。
僕自身,二十代後半,講師資格そのものは目的ではなくJazz Pianoとその教育法を学びたくて,
某楽器メーカー系教室に通い,結構上位の「講師資格」は頂いたものの,肝心のJazz pianoは
何の進展もなく絶望。結局,音楽制作会社の丁稚奉公に転職し現在に至る訳ですが,
「講師資格」なぞ問われた事なぞありません。

その後,楽器メーカー系で講師やデモンストレーター対象に講座や個人レッスンをしましたし,
教室自体の企画立案にも関わり,つまりは「何級」を認定する立場になりましたが,
僕自身はその種の資格なぞ取得した事はありません(勝手に下さったのはありましたが…。)

要するに「講師」としての職能さえ持てば,幾らでも「音楽講師」を自称すれば良いかと思います。

ただ敢えて苦言を呈すれば,楽器メーカーの6級だかを取得したから人に教えても良い,という考え方は良いとは言えません。

別に音大を卒業したからと言って,学校にもよりますが,大して技術や知識がある訳でなく,
素人と五十歩百歩ですが,本人的には自信をお持ちなので,そりらしく見えるのでしょう。

それにしもて単なる六級を取得しただけ,よりはマシかも知れませんが,
だからと言って5級,4級と進むにつれ,音楽能力が向上するのか?といえば,
本当に必要とされる能力は殆ど習得できません。

確かに「自信」はできるでしょうが,それでは困ります。
確かに「教え方」のセミナーもあるかも知れませんが,
「教え方」なぞ大した事項ではなく,教えるべく内容を持てれば,
自ずと「教え方」も導き出されます。

そういう訳でして五級だろうが,「音検」だろうが,
どこやらのピアノ検定だろうが,実際の音楽能力を測るとしては適切とは言えず,
単に「検定テスト」の要項を満たすかどうかだけが問われています。

ところで楽器屋さんが「音楽教室を開きたいならばエレクトーンも買え」
というのは馬鹿な話しですね。エレクトーンが好きで買うならば良いとして,
エレクトーンがなければピアノを教えれない,という事は全くあり得ないでしょう。

但し,楽器屋さんが主張する「エレクトーンを導入する事でレッスンの巾が広がる」
という事は一理あります。尤もそんな事を本気で考えるならば100万円近いエレクトーンなぞより,
30万円以内で買えるヤマハのMotive等のシンセサイザー系ワークステーションの方が五倍くらい価値があります。或はヤマハの五万円くらいのポータートーンで充分です。

要するに「エレクトーンがなければ充実したピアノレッスンができない」なぞと本気で考えている訳がなく,「音楽教室の看板」代として壺だがエレクトーンを購入せよ,といういわば「ねずみ講」に近い商法を展開しているのが実態でしょう。

そもそも「全国各地」に矢鱈と「家庭での楽器メーカー系教室」を増やしたがるのは,
その教程や講師を信頼し,できるだけ近所に通える教室を増やして上げようというか,
親心からでは全くありません。

誰でも何でもいいから矢鱈と「講師認定」してしまい,かと言って,認定された講師が
「教室展開」できる訳でなく,精々,自分の子供に教える程度の規模に終り,
結局,認定=エレクトーンやピアノの購入者になるという図式が見えてきます。

早い話,セールスマンがカタログの入った鞄を持って個別法麺しても門前払いを喰わされますが,
「認定」してあげる事で堂々と玄関から「ターゲット」宅に乗り込め,
「義務」として購入を押し付けるという商法が取れる訳です。

勿論,各音楽検定の本来の主旨は違うかも知れませんし,
楽器店も「音楽的に必要だから」エレクトーン等を進め,
或はその方の「講師としての資質」と「営業的展開の可能性」を確信して,
アムウェィ的に「認定教室」を展開されておられるのかも知れませんが…。

僕が言いたい事は一つ。

そんな「音楽検定」なぞにかまけてる暇は全くありません。

真の音楽能力を有する事が肝要で,しかるべく先生を探し,
つまりは「何級がどうこう言い出さない」先生の元で,
ちゃんとしたピアノの研鑽に励まれる事です。

それで本当にピアノが弾け,音楽が理解できるようになれば,
何級だかの資格の有無に関わらず,
演奏家なり教育家なりとしての「核」が持てれば,
講師業をおやりになられれば良いかと思います。

尚,「音検」と称する検定も,
クイズ番組にでも出るのでなければ,
殆ど無意味な内容しかない戯言に過ぎません。

とはいえ「音検」に出て来る程度の知識は,
いわば音楽の常識ですから,その程度は知ってて頂きたいのですが,
こんなもの「受験勉強」で合格しては無意味です。

色々な事を学ぶ内に自然とそれらの知識は備わります。
逆に「音検」の受験勉強で知識を得たとしても,
それは「使えない知識」に過ぎず,それで得た「検定」なぞ,
無用の長物に過ぎません。

という訳でして,果たして「音楽講師」なぞ目指す必要があるのか?という疑問はさておき,
音楽のスキルアップは必要であり,良い先生を探され,「講師資格」とは無関係に,
実力を培われる事が最善かと思います。

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